風立ちぬ

by axe | 2014年7月6日(日) 15:47

風立ちぬ邦題:風立ちぬ
監督: 宮崎 駿
脚本: 宮崎 駿
原作: 宮崎 駿
製作: 奥田誠治、福山亮一、藤巻直哉
主題歌: 荒井由実 「ひこうき雲」
撮影: 奥井 敦
編集: 瀬山武司
製作会社: スタジオジブリ
音楽: 久石 譲
配給: 東宝
出演者: 庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫、竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎
データ: 2013年/日本/126分
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★★★☆ 70点

ストーリー

大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。

(シネマトゥデイ)

インプレッション

何度目なのかは分からないが、宮崎駿監督の長編アニメーション映画引退作品。
いままでの作品のようにファンタジーな世界観やキャラクターは一切登場せず、人物、描写ともにリアルに描いた珍しい作品となった本作。
唯一ファンタジー要素が見られるとすれば主人公の夢の描写くらいか。
この夢のシーンがなかなか良かったので、もっと増やしてもらいたかったくらい。

人の声による効果音

今作中では、すべてのSE (効果音)を「人の声」で録音しているらしいが、なるほど聞いてみると確かにプロペラ音やエンジン音がしっかりと口から発せられているのがわかる。
これは作中にでてくる地鳴りなどの効果音でも使われているのだろう、不思議な不気味さが出ていてとても良かった。

ドキュメンタリーのような淡々とした描写

時代背景では戦争を背景にしているが、「美しい飛行機を作りたい」という想いのみを貫いた主人公のお話で、ポスターや宣伝ではヒロインとの愛がメインとなるのかと思った。が、全くそうでもなく、確かに愛はあるが、軸には飛行機を作るという主人公の話しであることには違いない。
もっと感動を誘うような演出はやろうと思えばいくらでも出来るだろうがあえてしていないのだろう、実に淡々と話を進めていく印象だった。

主人公の堀越二郎の声を務めた『エヴァンゲリオン』の監督でもある庵野秀明さんは…うん、まぁまさにあのしゃべり方が”狙い“であるんだろうし効果的に狙い通りだったかどうかは疑問だが、キャラクターとして成立はしていたのでまぁ淡々としてよかったんだろうからこれ以上は書かない
ヒロインに関してはとても素晴らしかったです。最近でも珍しいくらいヒロイン然としている華のある人物だった。だからこそもっと見たくなってしまうのだが、前半部分はほとんど出てこないので時代背景を鑑みてもやはり少しだけ展開が急に感じてしまう。

飛行機のうような作品

前半の夢の導入からの日本歴史上の大災害 (あえてこう書くが)までのくだりは見せ方、演出、とても素晴らしく、まさに引きこまれた。
強いて言うと個人的にはあの前半までの流れが「山場」だったと言ってもいいくらいだった。

全体的なクオリティはさすがのという他なくとにかく動いている人物や背景の人々を見ているだけでため息が出るくらい細かく動く。それだけでも見る価値があるくらい。
こういった見せ方が、宮﨑駿監督がずっと追っていたアニメでしかできない線なのかどうかは分からないが、先ほど書いた山場での「大災害」での地面の描写などは、まさにアニメでしかできないそれだった。

前半に飛ばすときに用いる力のピークを持って行き、後はその出来上がった話のベースで発生した揚力のみで展開していき、情景や感情移入する箇所、山場などをあえて作るようなやり方はせずに客観的に促していく。後半はいい意味での「惰性」で話の終わりを着地させていくという、まさに飛行機のうような作品なのかもしれない。


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