ゲド戦記

by axe | 2006年8月1日(火) 23:26

ゲド戦記
邦題:ゲド戦記
原題:ゲド戦記 -TALES from EARTHSEA-
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K.ル=グウィン『ゲド戦記』シリーズ
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
プロデューサー:鈴木敏夫
制作:スタジオジブリ
出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、小林薫、夏川結衣
データ:2006年/日本/115分 (東宝)
鑑賞方法:まちえい (映画の日 ¥1,000にて鑑賞)
評価:★★☆☆☆
ストーリー
 多島海世界のアースシーでは、聖なる生物の竜が共食いを始め、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れていくなどさまざまな異変が起こり始めていた。やがて人々が魔法を信じることができなくなったとき、大賢人ゲドは世界のバランスを崩す者の正体を突き止めるための旅に出て、国を捨てた王子アレンと出会う。
インプレッション
映画の日だったんで、ある程度覚悟して観にいきました。覚悟していたというのはあんまり期待しないで見ようという意味で、ジブリの宣伝には踊らされないぞ、とまだ周りで評価されてない状態で観たくて劇場に足を運びました。
あ、最初に言っておきますが僕は原作の『ゲド戦記』は読んでません。その状態で本作を観ると・・・なんとも言い知れない違和感に包まれます。世界観はいいし、絵はきれいだし、ジブリ独特のキャラクター、豪華声優人、そして壮大な物語と文句のつけようもないくらいのオプションに固められた自称”感動巨編”は観ているうちにどんどんそのイメージを感じられなくなってくる。しかし、大作感が全く無いのはなぜだろう。
絵はどう見てもジブリ。もはや真似でもいいと思えるくらい(というか同じ)の人物タッチは宣伝やポスター、パンフレットでは大いに期待を膨らませてくれます。がしかし、動いてみると明らかに違う。パパとは大きく異なる作品だという違和感が劇場を漂うのがよく分かります。人物一人一人のしぐさや、ちょっとした動作が余りにもおざなりに感じられ、全体的にのっぺりとした印象を与えます。表情豊かなキャラクターのはずが、なぜか表情があまり生きていないように感じるのです。
その理由として、物語り全体を覆っているネガティブな空気。暗い、みんな基本的に暗すぎます。主人公のゲドやアレンですらアレですから、いかに周りが盛り上げるかがポイントなのに、何も配慮を感じない演出はただたださびしい間だけが残ります。台詞一つ一つにもなにか哲学的なことがちりばめられていて、終始同じことを言っているので繰り返す事に意味を感じません。画で見せないでほとんどを台詞回しで説明している。原作に忠実に作られた為に、ジブリのワクワク感はすっかり相殺されてしまい、小学校の授業の教育ビデオを見ているようだ。
テンポも悪く、とにかく情景を見せたいであろうと思える間を取りすぎて何を見せたいのかがいまいちよく分からないので、なんとなくの雰囲気で語られていくストーリー。演出に筋が通っていない盛り上がらない見せ場。最後まで処理されない複線の数々。原作を読んでいないと楽しめるのかが疑問。
「ジブリ」ブランドの名を背負わなければそれなりの名作として語られていたでしょうに。
【※】 以下、ネタバレ注意!!


“影”や”真の名”についてもっと詳しく描いてほしかった。特に”影”の話は、ゲドも以前”影”を作ってしまった過去があるからアレンとの関係性が成り立つのに、これではアレンと出会い、物語が始まったのは全くの偶然という事になってしまう。
テルーの唄。あの挿入歌はめちゃくちゃ良かった。良かったけど・・・・・、・・・・・、・・・・・長いよっ!!! あそこは1フレーズくらいかせいぜい歌いだしでよかったんじゃなかろうか。劇中で話をぶったぎって、あんなにしっかり挿入されるとただのプロモーションビデオのように見えてしまう。それならまだ『黄泉がえり』の流し方のほうが良かった。それよりもラストの戦っているシーンなどで、あえてバックグラウンドで流してほしかった(これは演出になってしまうが)。
結局ただの内輪もめの話で、国がどうとか全く関係ない展開に終始唖然。最初のドラゴンのシーンの必要性が謎のまま話が終わってしまう。おそらくドラゴン同士の戦いで、世界観を見せたかったんだろうが、あまりにもインパクトが強すぎて(というか後のシーンが弱すぎて)、「あのシーンは何だったの?」という疑問がずっと残ってしまった。
スタッフロールにも堂々と”(新人)”と書かれていた「手嶌葵」さん。歌も声もとても魅力的ですばらしいと思いますが、いかんせんアフレコはやはり新人のにおいがプンプン。狙いなのか分からない気の抜けた台詞が全編を通して展開されます。でも”台詞回しが棒読み”なのはみな共通、プロの声優さん以外はどのキャラクターもそんな感じです。しかし、これは最近のジブリの特徴だと思ってますので、もはや許容範囲。
宮崎吾朗の監督初挑戦に、ジブリの中では唯一猛反対だったという父の宮崎駿さん。心情はよく分かりませんが、そんないわくつきの作品で主人公アレンの”父殺し”って・・・。あれも理由付けがあいまいで唐突だったし、初登場シーンでいきなりあんなことされちゃあ感情移入もできませんって。
最後に。タイトルの意味が全く分からない。本人は「ハイタカ」って名乗ってるし、劇中に「ゲド」って言葉は2、3回くらいしか出てこないのは・・・。結局この作品のテーマとしては、約2時間かけて「死と生、命の大切さ」を説かれたようです。何回も、何回も。
「命を大切にしない奴なんて大っ嫌いだ!!」


この記事へのコメント (37)

  1. ナマケモノの穴

    【劇場映画】 ゲド戦記

    ≪ストーリー≫
    竜が人間の住む世界に現れて共食いを始めるなど、異変が起こりはじめた多島海世界“アースシー”。異変の原因を探るべく旅に出た大賢者ゲドことハ…

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  2. ImageSynchro イメージシンクロ

    スタジオジブリ作品  「ゲド戦記」  報告 

    本日公開の、スタジオジブリ最新作・映画「ゲド戦記」を早速、観てきました!まずはパンフレットにどんなことが書かれているかというと・・・   父さえいなけ…

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  3. そーれりぽーと

    ゲド戦記

    ジブリ最新作は父駿から息子吾朗に世代交代の第一作「ゲド戦記」
    原作は「指輪物語」「ナルニア国物語」と並んで超有名なんですってね。私はどれも原作を読んでいま…

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  4. ミチの雑記帳

    映画「ゲド戦記」

    映画館にて「ゲド戦記」
    アーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」シリーズを、スタジオジブリが映像化したファンタジー・アニメ。
    原作は未読です。なので…

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  5. ミチ

    こんにちは♪
    TBありがとうございました!
    いまひとつと仰る方もいれば、良かったという意見の方もお見受けしました。
    それは期待値の設定にもよるし、作品との相性にもよるし、ドラマの中に自分に当てはまる何かを見つけるかどうかにもよるんだな~と、たくさんの記事を拝見して思います。
    普通の人が監督をしたのと、偉大なパパを持つ吾朗さんが監督をしたのでは、最初から風当たりは違いますよね。
    ジブリは世襲でいくのかどうか知りませんが、ほろ苦いデビュー作になってしまいましたね。

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  6. シャーロットの涙

    ゲド戦記

    生と死。人が生きる上での永遠のテーマなのであろう。
    心の奥深くに潜む影のようなもう一人の自分の存在との対峙を見せてくれた。
    原作を例によって読んでいな…

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  7. 欧風

    ゲド戦記

    さて、ここで書いた、日曜日に観てきた映画というのが、この「ゲド戦記」。
    これはですね?。かなり前から予告編が流れてましたね。そして予告編を観た事があ…

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  8. オールマイティにコメンテート

    ゲド戦記(罪を背負って旅に出た先にみた答えとは・・・)

    「ゲド戦記」は宮崎駿監督の息子である宮崎悟朗監督に初監督作品として注目され、スタジオジブリが今年最大の話題作として送った作品である。物語は一見奥深そうだが…

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  9. オレメデア

    ゲド戦記(7月29日公開)

    西の海の果てに棲む竜が,人間の世界に現れた.
    それと時を同じくして,作物が枯れ,家畜が倒れていく.
    ゲド(ハイタカ:声・菅原文太)は,その原因…

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  10. トラックバックありがとうございます。
    テルーの唄、とてもいいけど・・・
    確かに長い!笑
    唄自体はジーンとくるんですけどねぇ

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  11. bobbys☆hiro☆goo☆シネプラザ

    一応合格点?「ゲド戦記」酷評に負けるな!

    「ダビンチコード」並みの
    不評が話題の?
    宮崎吾朗第1回監督作品
    「ゲド戦記」
    まずは
    第1回監督作品としては
    合格ではないでしょうか?
    父「ハウルの…

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  12. Akira's VOICE

    ゲド戦記

    深みに欠ける部分はあるけれど,
    絵画的な背景で展開される人間ドラマが,
    ゆったりと心地よく,LOHASな気分に浸り,
    響くメッセージは胸を打ち,二カ…

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  13. axe

    >>1 ミチ さん
    そうですねー。
    ネットでは正に”賛否両論”といった感じですが、それだけに反響の高さを証明してます。
    ゲド旋風ですね。
    >>2 倫 さん
    さすが、予告編で流したら問い合わせが殺到したというだけあります。
    あの挿入歌、タイトルもまんま『テルーの唄』だったんですね。
    サントラよりも売れるんでしょうね。

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  14. シネクリシェ

    ゲド戦記

     前評判が芳しくない公開作品が目立つ中で、ひときわ酷評に晒されている本作も、観ようか観るまいか少し悩みました。  その結果は、それほどのこと

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  15. soramove

    「ゲド戦記」この映画を見てタイトルを理解するのは難しい

    「ゲド戦記」★★★
    岡田准一、手嶌葵 声の出演
    宮崎吾朗監督、スタジオジブリ作品、2006年
    大宣伝をかけたジブリの新作。
    珍しく公開初日に見…

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  16. ひるめし。

    ゲド戦記(映画館)

    かつて人と竜はひとつだった。
    CAST:岡田准一/手嶌葵/田中裕子/小林薫/夏川結衣/菅原文太 他
    ■日本産 115分
    原作読んでないのが悪いのか、…

    返信
  17. スポーン

    原作者が激怒!ジブリの嘘宣伝が壊滅!
    次は莫大な訴訟が待ってる♪
    http://www.ursulakleguin.com/GedoSenkiResponse.html
    >I am told that Mr Hayao has not retired after all, but is now making another movie. This has increased my disappointment. I hope to put it behind me.
    私は、ハヤオ氏が結局引退しなくて、現在もう一つの映画を製作していると話されます。これは、私の失望を増やしました。私は、私の記憶の彼方にそれを置くことを望みます。
    >I wonder at the disrespect shown not only to the books but to their readers.
    私の原作だけでなく私の原作の読者も軽蔑している。それに驚きます。

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  18. 観たよ~ん~

    ゲド戦記 2006-43

    「ゲド戦記」を観てきました~♪
    人間界に現れるはずの無い竜が出現した、それを機に様々な異変が起きる。世界の均衡が崩れつつあると予感し、旅に出た大賢人…

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  19. The Final Frontier

    ゲド戦記/TALES from EARTHSEA(2006,JP)

    どんなに悪評が漂っていても、話題作には変わりなし。仕事で観てきましたよん☆ ゲド戦記多島海世界“アースシー”では、西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の住…

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  20. axe

    >>4 スポーン さん
    ああ、なんかとんでもないことになってるんですね。
    て、なんか『ゲド戦記』ドキュメント本では原作者はべた褒めしてたけどそいう言うのは実際どうなんだろう・・・。
    でも世界的に劇場公演は決まってるし、実際のところ興行的には成功しそうだから何事もなく事なきを得るんだろうなぁと大人の事情を深読みしてしまいます。

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  21. 猫姫じゃ

    ゲド戦記 06年165本目

    ゲド戦記
    2006年   宮崎吾朗 監督   アーシュラ・K・ル=グウィン 原作岡田准一 、手嶌葵 、田中裕子 、菅原文太 、風吹ジュン
    原作ものです…

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  22. ちわわぱらだいす

    ゲド戦記

    試写会があたったので瑠璃さんと見に行ってきました。。。 感想ですか・・・・ ねむたかったぁ~って言ったら「寝てたじゃん」って。。。 はい、寝てま…

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  23. Extremelife

    ゲド戦記

    ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子=宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人…

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  24. Wilderlandwandar

    「ゲド戦記」映画(DVD)感想

    ジブリアニメ映画の「ゲド戦記」がDVDで出たので、レンタルして見た感想です。 結

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