[映画] 『グリンチ』: 誰が観ても同じものに映る美学

レビュー
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『グリンチ』 作品概要

原題: The Grinch
監督: ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー
脚本: マイケル・レシュー
原作: 『いじわるグリンチのクリスマス』ドクター・スース
製作: クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
出演者: ベネディクト・カンバーバッチ (大泉洋)、ラシダ・ジョーンズ (杏)、ケナン・トンプソン (秋山竜次〈ロバート〉)、キャメロン・シーリー (横溝菜帆)、アンジェラ・ランズベリー (京田尚子)、ファレル・ウィリアムス (宮野真守)
音楽: ダニー・エルフマン
編集: Chris Cartagena
製作会社: ユニバーサル・ピクチャーズ、イルミネーション・エンターテインメント
配給: ユニバーサル・スタジオ、東宝東和
公開: 2018年11月9日(米国)、2018年12月14日 (日本)
製作国: アメリカ
上映時間: 92分
受賞: —
鑑賞方法: ユナイテッド・シネマアクアシティお台場 (スクリーン3) 吹替版鑑賞
評価: ★★★☆☆ 67点

ストーリー

「怪盗グルー」シリーズや「ミニオンズ」など、数々の人気アニメを生み出すアニメーションスタジオのイルミネーション・エンターテインメントが、2000年にジム・キャリー主演で実写映画化もされたドクター・スースの名作絵本に登場するアメリカの国民的キャラクター「グリンチ」を、新たにアニメ映画化。幼い頃はつぶらな瞳が愛らしかったが、成長してすっかりひねくれてしまったグリンチ。洞窟の中で暮らす彼は、愛犬マックスの献身的な愛にもぶっきらぼうに対応し、山麓の村人たちに意地悪ばかりして楽しんでいた。いつも不機嫌で孤独なグリンチは、村人たちが大好きな「クリスマス」を盗んでしまおうと思いつくが……。オリジナル英語版ではベネディクト・カンバーバッチ、日本語吹替え版では大泉洋がグリンチの声を担当。

出典: 映画.com

インプレッション

グリンチ??ジム・キャリーがやってたやつ?

ミニオンでお馴染みのイルミネーション・エンターテインメントが送るCGアニメ『グリンチ』を観ました。
原作はアメリカの児童文学絵本で、向こうではクリスマスの代名詞的なキャラクターなんですね。日本でいうとなんだろうか…、「桃太郎」みたいな? (違うか)

なので、この作品単体としてはイルミネーションの高クオリティCGアニメーションで見せる「グリンチ」であって、2001年日本公開のジム・キャリーが演じた実写版『グリンチ』ではありませんし続編でもなんでもありません。

もうドストレートなクリスマス映画で正月明けの日本ではいまさら感がすごいんですが、観た時期は12月だったので…。

天の声が、すっごい親切

オープニングの導入から作中のいたるところに終始ですね、ナレーションがあるんですよね。絵本の読み聞かせのように。
もちろんこの映画は”子供向け”とひとくくりにしてしまう作品ではなく、大きいお兄さんでも十分に楽しめる作品なんですが、それでも子供が理解でき、楽しめるのが大前提であります。

大嫌いなクリスマスをぶち壊すという子供のいたずらのようなテーマを単純に「悪いことをすると良くないよ」という見せ方でなく、内面的な変化をしっかりと見せていく物語なので、実はけっこう繊細な心理描写があって、演出も表現も役者もしっかり丁寧にやっているんですね。
むしろその内面変化の成長などがこの作品の見せ所なんですね。
しかしですね、その大事な大事なターニングポイントになるシーンにはかならずわかりやすいように天の声が入ります。
行間もニュアンスも全部説明してくれる超丁寧なやつです。

こういった表現作品ってのは、その行間の明示されていない部分をそれぞれが”補完して”人それぞれの形で心に残るんだと思うんですが、説明が丁寧すぎて大人には煩く感じてしまうかもしれません。
ある道を聞いたときに、方角だけおしえてくれれば行き方を楽しみながら目的地に行くのに、そこに至るまでの曲がり方や進み順まで事細かに指定してむしろずっと横に並行してついてきて教えてくれるくらいの丁寧さなんですね。

安心して楽しめる良作

とはいえ描写はものすごくきれいだし、観ているだけで楽しい気分にさせる一つの街で行われるクリスマスの世界はただただ素晴らしく、キャラクターの描写もさすがの高クオリティです。
イルミネーションにしては珍しいくらいシニカルジョークがない作品になっているのも特徴ですかね。
あとこのスタジオは”ちょこまかと動く子供”を描かせると本当に凄い。

それにしても、どんなに悪いことや過ちを犯してしまっても、自ら悔い改め懺悔すれば受けいられる (赦される)という、いい意味でのお国柄らも感じました。いや…、宗教観か?
日本童話だったら、改心してもやってしまったことへのペナルティ (もしくはそれに準ずるマイナスリターン表現)はしっかり与えられそうだけどなぁとは思った。
そういう意味でもしっかりと”クリスマス映画”でした。

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