邦題:借りぐらしのアリエッティ
監督:米林宏昌
企画・脚本:宮崎駿
脚本:丹羽圭子
プロデューサー:鈴木敏夫
作画監督:賀川愛・山下明彦
美術監督:武重洋二・吉田昇
色指定:森奈緒美
映像演出:奥井敦
音響演出・整音:笠松広司
アフレコ演出:木村絵理子
音楽:セシル・コルベル
主題歌:『Arrietty’s Song』 セシル・コルベル
製作会社:スタジオジブリ
出演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、三浦友和、樹木希林、他
データ:2010年/日本/94分 [東宝]
鑑賞方法:ワーナーマイカルシネマズつきみ野 (2番シアター)
評価:★★★☆☆
[ストーリー]
古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる借りぐらしの小人たち。そんな小人一家の14歳、アリエッティは、好奇心と伸びやかな感性を持つ少女。だが、人間に見られないよう、目立たないよう、つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた。
(シネマトゥデイ)
[インプレッション]
ジブリの最新作はメアリー・ノートンの『床下の小人たち』を原作としたファンタジー作品。監督は脚本を担当した宮崎駿監督から代わり、『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』、『崖の上のポニョ』などで原画を担当した米林宏昌。スタジオジブリがずっと抱えていた問題である、世代交代が実現できるかも今作の成功いかんに掛かっているわけだ。
物語はアリエッティという小人の話なのだが、舞台を日本に移した以外は原作にかなり忠実に作られているということ。
ちなみに原作は見てないのでそういった比較はできませんが。
人間が暮らす床下に潜み、”狩り”ならず、”借り”をしながらちょっとずつ人間のモノを拝借して暮らしている小人の話なんですが、序盤の展開は非常にジブリっぽい。ジブリっぽいんですよ、とても。しかもちょっと昔のジブリ。『ナウシカ』や『ラピュタ』、『魔女の宅急便』といった、”待っていたジブリ”の匂いがプンプンしますので、鑑賞中にどんどん期待が上がっていきます。
しかし、どこか見たことのあるキャラクターや言い回し、その物語はあくまでも安定感があるもので何が起こるのか予想できないような展開ではなく、そのまま安心したまま観きれてしまった。
冒頭のワクワク感から、ジブリにあった主人公の成長とその世界観の素晴らしさにどんどん期待をふくらませてしまうがあくまでもこのおはなしは一軒家の床下でのおはなし。世界中を旅するわけでも、その外の世界まで巻き込むような壮大な展開には決してなりません。
この期待感のすれ違いがこの映画の評価を分ける大きなポイントだと思う。
作品自体は極めてクオリティが高く。サイズの違う主人公の視点から展開するカメラワークの演出や効果音の使い方まで舌を巻くほど素晴らしいものであったが主軸である物語の落しどころにどうしてもストレスを感じてしまうのは今まで個人的に待っていたジブリではなかったという点だろう。その後の物語を想像したり、余韻を残すラストではあるが、この受け取り方はそう大差ないと思う。
このドラマ曲線の描き方は米林監督だからそうなったのか、それともこれがジブリとしての狙い通りなのか。起承転結という概念が完全に破綻している。作品の世界観の構築と画面演出の素晴らしさとそれを支える物語とのバランス。この構図がこれからのジブリの世代交代において重要なファクターになってくるだろう。
原作がある作品ということで、どうしても伝えなくてはならないメッセージのようなものがとたんに説教臭くセリフに入ってくるのでどうしても人間側の翔君に感情移入できなかったのも致命的。昔のジブリだったらスピラーのようなキャラクターをもっと惜しみなく使っていただろうと思うと余計に残念でならない。
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コメント
ハゲしく同感。
クオリティは高いんだけど、何か楽しめないって感じだったんだよなぁ。
起承転結が破綻してる。なるほど、そういう事か、と頷いてしまった。
個人的に、アリエッティのお父さんに激萌えだったんだけどww
技術の素晴らしさのおかげでやっと「ドラマ」が成立しているな、と思った。
心踊らず。残念。
>>みどり さん
返信遅くなりました。
以前のジブリのようなワクワク感を求めてしまうと、
急に説教臭いやりとりが出てくると引いてしまいます。
お父さんは本当に、ジブリでは近年稀に見る頼もしさでしたね。