告白

レビュー
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ポスター
邦題:告白
監督:中島哲也
製作総指揮:市川南
製作:島谷能成、百武弘二、吉田眞市、鈴木ゆたか、諸角裕、宮路敬久、北川直樹、喜多埜裕明、大宮敏靖
脚本:中島哲也
原作:湊かなえ 『告白』
音楽:金橋豊彦
主題歌:レディオヘッド「ラスト・フラワーズ」
撮影:阿藤正一、尾澤篤史
編集:小池義幸
出演者:松たか子、岡田将生、木村佳乃、他
データ:2010年/日本/106分 [東宝]
鑑賞方法:新宿ピカデリー (2番シアター)
評価:★★★★☆
[ストーリー]
 とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……。
(シネマトゥデイ)
[インプレッション]
2009年本屋大賞も受賞した湊かなえ『告白』原作による映画。愛娘を亡くした中学校教諭である母親の生徒への復讐劇となっており、中学生による殺人・いじめ描写等が含まれるためR15+指定となっている。
どこにでもあるような中学校のクラスにあるどこまでもリアルな人物描写がスリル満点のサスペンスドラマだ。
中島監督といえば『嫌われ松子の一生』、『パコと魔法の絵本』など独特の色彩とスロー再生を多用した映像がとても印象的ですが、ガラッと作風が違う今作でもいかんなく発揮されていて、とにかく映像演出が素晴らしい。好みの問題もあるかとは思うが、このとんがった演出はヘビーなこういう作品にもきっちりとはまっていたと思う。
この『告白』という作品は登場人物視点のモノローグ(告白)で物語が語られていく形式で、精神描写がものすごく客観的に、淡々と描かれて行く。
まず、冒頭30分間ぶっ通しである告白をしゃべり続ける松たか子。これだけのテキスト量でも飽きるどころか、ぐいぐいと引き込まれてしまった。個々の場面転換と独特な緊張感の見せ方は圧巻です。
さらにいろんな視点からその出来事を見ることができるのでミステリーとしても非常に深い部分で楽しめる。観客は語られていく出来事であったりその人物の内面に焦点をあててストーリーが進行して行くので、どんどんと引きつけられてしまう。
そして全部のピースが淡々とはまっていく様には快感すら覚える。
そういう驚きが最後まで、とにかくものすごい量で散りばめられているので、全く先が読めない展開とその内容にカタルシスがどんどんと押し寄せてくるので、脳汁が湧き出まくること請け合いです。
うまいと思ったのはとにかく”微妙に感情移入させない”という作り。モノローグ形式だが、この作品に出てくる登場人物はリアルでいてどこかおかしい。生徒に復讐をする中学校教諭であったり、その内情を知っているが全く動じない生徒であったりで、とにかく微妙に破綻してる。実際にそんな状況になればわかるかもしれないが、まさか起り得ないようなことがその作品中でものすごくリアルに起きているからだ。
しかも、そこに同調させないように一歩観客を引いてリアル感見せてくれるのは、中島哲也監督の淡々と事実を見せていく演出や構成力の力だろう。
作品とテーマ、そしてそこで行われていることはとんでもなく重いのに、どこかそこに起きる事実、そしてその出来事による物語の展開にドキドキワクワクしている自分がいるはずだ。
日常にありがちだがどこか切り離されている世界の中にぶち込まれて、106分というとても緻密で濃密な時間が過ごせます。

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コメント

  1. ぐっち より:

    どうもっす、堀口です。
    僕も先程「告白」見てきました。
    非常に楽しめました。
    中島監督の作品はいつも「作品の中でのリアル」を貫いているので、最後までグイグイ見せてくれますよね。しかも自分なりの原作への枠組も崩さないから原作を読んでいても余りストレスを感じない。
    あと今回は子役がみんな上手かったのも素敵でした。
    早くも次作が気になってしまいます。

  2. axe より:

    >>ぐっち さん
    よかったですよねー、あのグリグリえぐられるような描写力。
    原作は読んでないんですが読んだ人からも評価が高いとうのもかなり印象的。

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