ブレイブ・ストーリー

レビュー
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画はキレイ
邦題:ブレイブ・ストーリー
原題:BRAVE STORY
監督:千明孝一
原作:宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー (上・下)』 (角川書店)
声の出演:松たか子、大泉洋、常盤貴子、ウエンツ瑛士、今井美樹、田中好子
データ:2006年/日本/116分 [ワーナーブラザーズ]
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★☆☆☆
ストーリー
 どこにでもいる平凡な小学5年生のワタルは、父親の家出と母親の自殺未遂を機に不幸のどん底に突き落とされてしまう。あまりにもつらい自分の運命を変えたい気持ちに駆られたワタルは、転校生のミツルに教えてもらった“運命を変える扉”を開け、ありとあらゆる冒険が待つ幻界へ飛び込むが・・・・・。 (シネマトゥデイ)
インプレッション
原作がSF小説の映画化ですか。なんというか、ターゲットがいまいちピンとこない映画です。子供に訴えかけたいのか大人へ向けたエンターテインメント大作なのか。プロモーションは「フジテレビ&ワーナーブラザーずのタッグ!」などと完全に大人向けのふれこみなのに、内容は勧善懲悪というか要するに「他人が迷惑することはいけないよ、運命は自分で切り開こう」という道徳の授業のような展開で終始。最後もそのまま貫き通し、開始30分で結末が読めるストーリーには恐れ入る。やりたいことが多すぎて、完全に原作の世界観を描き切れていない感がそこかしこに。
しかし、子供へ向けた作品としてはなかなかどうして、キャラクターは某ポッケトのモンスターのようにかわいいし、剣と魔法の世界で選ばれし”勇者”という設定は、某Ⅷまで続く竜探索の国民的RPGのような導入であり、多種多様な民族が暮らす世界観はまるで某最後のファンタジー。まぁ要するにいいとこ取り詰め合わせパックな映画である。その一つ一つのクオリティは決して悪くなくとても高いのだが、どうも焦点があいまいになる。詰め込みすぎてきれいにまとまってしまった、どこにも角がない、お手本のような作品だ。お子さんには是非。
ただし注意し置くべき点は、この主人公の少年の現実世界ではどこまでも過酷な現実(リアル)が突きつけられる。ある日突然父親が別の女と出て行き離婚し、母が倒れる→「こんな運命を変えるんだ」→不思議な世界へ→現実逃避。ネットゲームにハマる引きこもりの構図とまったく類似している。目的がそこかよ!! とあまりに短絡的な主人公の考え方に感情移入できるわけもなく、あっけに取られながらつっこみを入れる間もなくストーリーがどうどうと展開していく。まったく優雅な世界やのんびり楽しみながら旅をしている主人公を見ると少し不気味な印象さえ受ける。
まとめとしては、詰め込みすぎたビックリ箱があまりにうまくまとまりすぎてしまい、別に目新しいものでもないので結果として何の驚きもないという「可もなく不可もなく」状態。個人的には松たか子と大泉洋が意外すぎるほどマッチしていてビックリ。これが一番のサプライズでした。

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