原題:WAR OF THE WORLDS
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:『宇宙戦争』 H・G・ウェルズ
脚本:デヴィッド・コープ、ジョシュ・フリードマン
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ジャスティン・チャットウィン
データ:2005年/アメリカ/114分
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★★☆☆
ストーリー
アメリカのある町である日のこと、突然、稲光が何度も地上にまで達するという異変が起きていた。レイ(トム・クルーズ)は、黙って外出した息子のロビー(ジャスティン・チャットウィン)を探しにいくため、娘のレイチェル(ダコタ・ファニング)に留守番をするよういいつける・・・。
インプレッション
H・G・ウェルズの人気小説『宇宙戦争』をスティーヴン・スピルバーグ監督がリメイクした作品。制作費もスピルバーグ映画史上最高額の1億3300万ドル(約138億円)。おまけにキャストが主演トム・クルーズ、天才子役ダコタ・ファニング、演技派ティム・ロビンスと、そうそうたる顔ぶれ。制作費のほとんどは彼らに持っていかれてるでしょうが(笑)。しかし、文句なしの「SF超大作」。この作品にこそ、この言葉がふさわしいでしょう。
まず、リメイクといっても今までとの大きな違いは、”一市民”に焦点を当てて、パニックから逃げ惑う家族の視点から描かれているという点です。
突然地中から現れた敵(トライポッド)からの攻撃に恐怖し逃げ惑う描写はかなりリアルです。アクションでもなんでもなく、ただただリアルに人類がやられていくさまを描いていきます。アメリカでのレーティング(年齢規制)に対する対処として、直接的な表現は避けられているものの、想像力が豊かな人は、よっぽど怖いと感じるはずです。
世界観の見せ方がとても秀逸で、さすがは巨匠スピルバーグ。”とにかく世界がヤバイ”というのが、逃げ惑う人々からひしひしと伝わってきます。
日本のニュース放送が、なぜか外国人リポーターだったり、大阪ではトライポッドを倒したとか、奇妙な日本びいきには少々戸惑いましたが(笑)。
そして、おじさんトム・クルーズ。なぜトム・クルーズなんだろう??
彼は今回、凄腕の諜報員でもなく、特別な力を持っているわけでも、魅力的な人物でもなく、完全にただのおっちゃん。だめ親父です。プライベートでの彼を考えると、これほどお似合いなキャスティングはないがw。スピルバーグの高度なイヤミなのだろうか。
ダコタ・ファニングは演技上手すぎて、大人じみてて怖いです。
ストーリーは後半にかけて、一気に進んでしまった感が。
丁寧に世界観を作ったところで、ラスト15分はあまりにもさらっと流していきます。その部分をもう少し長く作って欲しかったような。人物に感情が移入してきたところで、バッサリと切った感じ。「感動はさせませんぞ」というスピルバーグの意思を感じました。最終的に”家族愛”なんてものじゃ片付けたくないという、意思のようにも思えます。やはり”世界観”に重点を置いたんでしょう。
ラストはつっこんじゃいけません。100年以上前に作られた話なんですから。いくらベタと言われようともその当時は何もかもが革新的なストーリだったんですから。それをスピルバーグが、かなり忠実にリメイクしているということでしょう。
その点を差し引いても、十分に見る価値はあるかと思います。
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