監督:黒澤 明
製作:田中友幸、菊島隆三、
脚本:黒澤 明、菊島隆三、小国英雄
音楽:佐藤勝
撮影:小泉福造、斎藤孝雄
出演:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、田中邦衛
データ:1962年/日本/96分 [東映]
鑑賞方法:DVD
評価:★★★★☆
[ストーリー]
ある城下町の夜、薄暗い社殿で九人の若侍が密議をこらしていた。城代家老睦田に、次席家老黒藤と国許用人竹林の汚職粛清の意見書をさし出して入れられず、大目付菊井に諭されてこの社殿に集っていたのだ。その真中へよれよれの紋付袴の浪人者が現れて、九人をびっくりさせた。その上、その浪人者は、城代家老が本物で、大目付の菊井が黒幕だといって皆を仰天させた。その言葉の通り、社殿は大目付輩下の手の者によって取りまかれていた。あおくなった一同を制してその浪人者は、九人を床下へかくし一人でこの急場を救った。
(映画生活)
[インプレッション]
メインの登場人物がやたら多いのに、全くそれを感じさせないのは三十郎が助太刀する9人の若侍は9人で1人扱いなんだなと納得。そこまでキャラが立っていたわけでもないし。
しかしながらそれを取り巻く人物がとても個性的で見ていて全く飽きない。前作『用心棒』での三十郎よりもの知的でどこかユーモアにあふれている。
個人的には『用心棒』のような殺伐とした雰囲気が好きだが、この作品は9人の若侍の行動も含めて実に計算された笑い所をちりばめてある。見ていて全く飽きないのである。
そこに支えられているのは主人公である三十郎のキャラクター。この人物像が物語りを作っていると言っても過言ではない。
傲慢な態度で口が悪く、しかし策略に長けている三十郎の巧みな言葉で物語が展開していきそれに巻き込まれるかのようについて行く若侍の構図。実際巻き込まれているのは三十郎当人なのに。本当に良くできている。
殺陣が『用心棒』と比べるとかなり多い割にはあまり際だって印象に残っていないのは、腕が立つということよりも、こういった人物像を強調した物語だからだろう。
お手本のような起承転結と、途中で出した複線をきっちりと使っていく話し作りは本当に隙がく無駄なものが一切省かれた濃厚な1時間半である。
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