監督/脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔
出演:役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、YOU、オダギリジョー
データ:2006年/日本/136分 [東宝]
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★★★☆
ストーリー
大晦日を迎えた「ホテルアバンティ」では、ホテルの威信がかかった年越しカウントダウンパーティーの準備で大忙し。そんな中でも副支配人の新堂平吉 (役所広司)は、様々な問題に機転を利かせて対応するのだが・・・・・。
インプレッション
日本映画を代表する23人の豪華キャストが、迷路のようなホテルの中で働く従業員や訳ありの宿泊客を演じていく三谷幸喜の秀逸なシチュエーションコメディ。それぞれの役割を同時進行で絡ませながら、伏線を縦横無尽に張りめぐらす三谷脚本の緻密な構成力は、見事としか言いようがない完成度だ。
ホテル内で、あと2時間で新年という限定された空間内で折り広げられるストーリーは、まるで舞台のような感覚にさえ陥る。独特な台詞回しや、役者の演技、伏線の張り方などニヤリとする部分がいっぱい。誰が活躍するわけでもなく、出ている役者も、観客さえも三谷演出によって操られているかのような独特の三田にワールドが展開される。
多少難ありな設定をも”あり”にしてしまう強引な展開は一貫した時間軸がずれる事が無いからだ。だから、観ている人は誰にフォーカスを合わせていても楽しめる。場面が変わって人物が写って初めて「ああ、そういえばこんな事やってたんだ」と思い出す。その波が折り重なっていくので舞台のようなリアルタイム感と、カメラのワンシーン長回し撮影による緊張感が常に保ったまま観れるのだろう。まさに総合エンターテインメントにふさわしい作品だ。というか豪華すぎる。
観ていて思ったのが、役者がみんな楽しそうなところ。登場人物にはそれぞれ人生やのっぴきならない事情があり、そんな人物がリアルにありえない状況に陥ったときの表情を見事に表現しているのだから楽しくないわけがない。役者としてそこが演じどころだからだ。それにしても役所広司は本当にうまいなぁと改めて感心して見てました。
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