WALL・E/ウォーリー

レビュー
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邦題:WALL・E/ウォーリー
原題:WALL・E
監督:アンドリュー・スタントン
製作総指揮:ジョン・ラセター、ピーター・ドクター
製作:ジム・モリス
原案:アンドリュー・スタントン、ピート・ドクター
脚本:アンドリュー・スタントン、ジム・リアドン
プロダクションデザイン:ラルフ・エグルストン
音楽:トーマス・ニューマン
サウンドデザイン:ベン・バート
出演 (声):ベン・バート、エリサ・ナイト、ジェフ・ガーリン、フレッド・ウィラード、ジョン・ラッツェンバーガー、キャシー・ナジミー、シガーニー・ウィーヴァー
データ:2008年/アメリカ/97分 [ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン]
鑑賞方法:新宿ピカデリー (2番シアター)
評価:★★★★☆

[ストーリー]
西暦2700年の地球。宇宙に逃れた人間が残したゴミを、700年もの間片付け続ける“地球型ゴミ処理型ロボット”WALL・E(ウォーリー)。ある日、地球にイヴという名のピカピカのロボットが現れた。ずっと孤独だったウォーリーはイヴに恋をするが、イヴが宇宙船にさらわれてしまい……。
(シネマトゥデイ)

[インプレッション]
ピクサーが本気を出すとこうなるのか。いままで、CGでしかできない設定にはこだわらず物語を作ってきたピクサーだが、本作はなんと地球はおろか宇宙まで舞台にしてしまうという壮大なダイナミックさ。

700年もの間、荒廃した地球の姿を息をのむほどリアルに描いている。背景などにはいっさいの妥協がなく、実写ではないかと思えるほどのリアルさである。そしてその中にいるWALL・Eという愛らしいロボット。

驚いたのが脚本の見せ方の無駄のなさ。開始から実に20分は全く台詞がない状態で物語を見させられる。しかし、全ての情報が無駄なくWALL・Eの仕草や行動の描写だけで世界観まで伝わってくる。そして全くあざとく感じさせないのだからすごい。
何よりもカメラワークが、前作『レミーのおいしいレストラン』の時にも書いていたが、今作ではさらに磨きがかかっていて、ピント合わせまでもが演出に加わっているのがわかる。まるで覗いているような、人間がピントを合わせているような感覚であえてアナログに描くという手法が大変面白い。

内容も、SF好きにはたまらないだろうし、未来という描写も手加減なく描ききってくれる。逆に前半での荒廃した地球の姿がうまく対比されていて、なんだかものすごい極端な未来だなぁというのが狙い通りよく感じられる。

少しずつストーリーが進んでいき、内容が明かされていくたびに目が釘付けになる世界観はさすが。終始集中していられるあっという間の1時間半だった。キューブリックの『2001年宇宙の旅』のオマージュもいくつかちりばめられてたりと、SF好きというだけでも十分に観る価値ある映画だ。

肝心のキャラクターの描き方には、見事にやられた。ロボットなので、感情を表現するのがよく動く”目”と”仕草”しかないのだが、逆にはっきりとその部分に割り切って見せていくので表現がとても分かりやすいので無駄がなく、台詞がないキャラクターでもしっかりと見せ切れている。まるでチャールズ・チャップリンの映画ような、上質な職人技といえる。
“ディズニー映画”の得意技と言ってもいいかも。

子供から大人まで幅広く楽しめる作品という意味ではストーりーの展開がある程度決まってきてしまうが、それをしっかりとどの層にも納得して見せきれるのはこのピクサーの脚本だからこそ。そして、それがピクサーブランドのシリーズにわたって出来ている数少ないアニメ会社だと思う。
この『WALL・E/ウォーリー』は、ある意味集大成ともえいるスケールで描いていて、尚かつしっかりとまとまっている作品。
自分の中で、ピクサー作品の歴代1位です。

荒廃した地球での唯一の友達には、「人間が滅んでもこいつらだけは」となんだか皮肉を感じてしまうけども (笑)。

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