原作:市川拓司 『いま、会いにゆきます』(小学館刊)
監督:土井裕泰
脚本:岡田惠和
音楽:松谷卓
美術:種田陽平
撮影:柴主高秀 (J.S.C/東宝スタジオ)
出演:竹内結子、中村獅童、武井証
データ:2004年/日本/119分 [東宝]
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★★★☆
[ストーリー]
ある町に住む秋穂巧は、1年前に最愛の妻である澪を亡くし、1人息子の佑司と慎ましく過ごしていた。2人は生前澪が残した、「1年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」という言葉が気になっていた。それから1年後、雨の季節に2人の前に死んだはずの澪が現れる。2人は喜ぶが、澪は過去の記憶を全て失っていた…。
そこから3人の共同生活が始まる…。
(Wikipedia)
[インプレッション]
ずっと観ようと思っていて、ようやく観ることができた作品。
いわずと知れた感動系の名作なのだが、自分的には役者としても非常に興味があった。こういう感情がシンプルに伝わってくる表現はとても難しいし、役者としての演技のセンスがストレートに発揮される部分なので、そういった観点からも注目していた。
死んだはずの妻が家族のもとに戻ってくるという設定はものすごく凝った設定ではないし、ある意味いなくなった人間とそれを受け入れる側のドラマという意味では使い古された表現である。それをどう見せていくのか楽しみにしていたのだが、思っていたよりも、ものすごくまっすぐ。ストレートに、淡々とひねりもせずに伝えるという手法。
しかし、そのときの情景や、こまごまと散りばめられた小さい複線が2重3重と見事に利いてくる。
そのときのキャラクターの感情やそうすることの意味を考えれば考えるほど感動してしまう。当たり前だが、ばっちり感情移入させることができるキャラクターの個性と誰にでもある家族の愛というテーマを堂々とみせきるのがとても良かった。
そこに、特に個性的な演出は必要なく、ほぼ3人だけで展開される物語はとてもシンプルで最後にある意味を知ると物語が一気に深くなる。そこまでに3人のうち誰かに感情移入できていれば必ず琴線に触れるはず。
そういったポイントが夫、妻、子供とほぼ全ての年齢層を対象として存在するのでしっかりとストーリーを綴っていくだけであざとくなく感動することができる。
原作、キャスト、演出ともに完成度が高い、とても気持ちのいい作品。鑑賞前の多少の期待は跳ね返してくれて、十分なお釣りがくるだろう。
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