ピーターパン・シンドローム

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子供の頃よく見えていた視力2.0のボクの目は、ゆっくりと視力が落ちてきている。周りのものがだんだんとぼやけてきた頃は少し焦っていたが、落ち着いた今は慣れてしまい、メガネもコンタクトもかけずにいまだに裸眼で、ゆるいソフトフォーカスがかかった周りの世界を視ている。
子供の頃と今のボクで世界の見方が変ったと言えば、そこだ。
「大人はいい加減だなー」なんていくつまで言えるのか。ボクはいつも漠然とした”大人像”を頭ん中に置いている。
そいつは右脳の上方に靄のように子供の頃からずっと居座っていて、正体がつかめないのだけれど、どこかでふと僕の主観になりかわる場面がある。最近とくにそう思う。身近で見る大人は大人として見ていないわけじゃないけれど、子供の頃から居座ってきたボクの中のこいつとはやっぱりどうもズレていて、漠然とした違和感を感じつつも自分が世間一般の定義では立派な”大人”なんだと言うことを受け入れることができないボク。
“大人になる”だなんてそんな文言は子供の頃から散々言われてきたことだけど、この頭ん中の存在はどんどん抽象的になっていき、それとは逆に”自分は大人だ”という事実だけがより具体的に感じてきた。「ウソをついちゃいけません」、「人に迷惑をかけちゃいけません」、「約束は守りなさい」、そんなのと同意義だと思っていた大人からの大事な言葉。だけどこの文言だけはいまだに答えを見出せずにいる。
大人になるのは嫌じゃない。でも、子供の時の気持ちを忘れたくない。この財産ともいえる気持ちを忘れたとき、きっとボクの中に居座ってるこいつがはっきりと見えるんだろう。だからボクは、フィルターがかかったこの世界で、ピントを合わせるのをややためらっている。何も通さないで見えるものの大切さを意識しないで見てきた子供時代。
頼むからぼやけていてくれよ、まだまだこの目で見たいものがある。

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俳優活動をしています。
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