今年2月の舞台、劇団命〜みこと〜『君に、瞬く星の導きを』のまとめ記事です。
基本的にこういったまとめ記事や、役についての記事は舞台終わってからいつも書こうと思っているんですが、まとまりきらずに最終的にアップしないままの下書き記事が多いこと多いこと。
…で、この役をひとまず書いてしまおうと。
真を持って、己を貫くもの
今回の芝居は、長年争いを続けているアカとアオの里のお話、いわゆる”戦争“がテーマとなっているんですが、僕はアカの里の「真己 (マキ)」という役を演じました。
この作品の世界にはそれぞれ自分の名前に”言霊“が込められていて、その意味と向き合いながら生きていくという設定があります。
ちなみに真己の言霊は、「真を持って、己を貫くもの」。
この真己は過激派というやつで、相手に与えられた痛みや憎しみは武力 (痛み)によって返すしかないと、憎しみにとらわれている人間で、相手の里 (アオ)に妻を無残に殺されるという悲しい過去をもっている人物でした。
しかしながら、ただ武力行使に依存している過激派ではない、悲しい過去を持った人間という点が感情移入しやすかったんですかね、ありがたいことにアンケートでも多くの感想をいただける役でした。
とにかく殺陣が多い舞台だったんですが、そのほとんどの殺陣に参加してまして、この役はとにかく動いていて、殺陣が多かった印象。
この世界では激しい憎しみや感情によって特殊能力が発現するんですが、僕は炎使いでしたね。もう強いのなんのって…某海賊漫画の火を扱うお兄さんばりにチートなキャラクターでした。アクションに関してもお客様に好評だったようで良かったです。
主義主張を貫き通すのは大変結構
役作りに関しては、物語序盤ではとにかく非情なシーンばかりがあるんですが、大切にしていた妻をなくしてしまう過去が描かれるシーンが中盤にあり、そのコントラストをはっきり出すために過去と現代のシーンを特に注意して演じ分けました。
過去は別人かと思うくらいに明るく、元気に、楽しく。自身でも楽しんでましたが。
現代は一言一言をとにかく重く。一言発するたびに何かバックボーンを感じて見てもらえれば最高だなと思ってました。
とにかく現代では「正論」ばかり吐くんですよ。それを言われたら何も言えないだろうというような。世の中決してそれだけでは回るはずがないのに。見ている人にはそこに矛盾を感じてもらえるくらい突き抜けた言い方を心がけてました。
キャラクターをはっきり作る芝居というか、メッセージ性が強い台詞が多いので言い方やニュアンスの強弱の付け方は、演じる側としてはとても楽しかったですね。いやほんとに。愉しかった。
真己という役が喋ったり、一挙手一投足を舞台のキャラクターのみならず、お客様がじっと見入る場面が多いのなんのって。
もう一度言ってしまいますが、真己の台詞は演じている側はとても気持ちいいし、非常に楽しかったです。随分と突き抜けてますけどね。
最期の難しさ
珍しいかもしれないんですが、通常物語に出てくる「役」ってのは、よっぽどのことがなければ最後に向けて作っていくのがセオリーで、そこに向けてベクトルを合わせていくんですが、最後が一番難解だったかも知れない。
というのも、自分でよくわかっていないくらい最後の感情や見られ方ってのは難しかったなぁと。実は終盤真己の最期のシーンはころころ変わってました。
最終的にはああいった終わり方だったんですが、単体ではもう少し補足があっていいでしょうけどあくまで作品の中で渡していく部分でもあるので全体でどう見えるのかを考えるとちょうどよかったのかなと思います。
ファンタジーを通して伝わる部分
妻である澄礼を演じる石田小百合ちゃんとは昔から何度も共演しているんですが、本人にとっても、共演者にとっても実に感慨深いことが今公演でありまして…、もしかしたら舞台に立つこと自体が非常に困難になっていたかもしれないという状況を乗り越えてのこのタイミングでの共演でした。
もちろん役者として信頼してるし、お互いに任せられることが多かったのでいろんな意味で演りやすい相手でした。役が決まってからは不思議と特に心配はしていなくて、2人のシーンについても自然にきっかけがつかめてからはとても心地よくできるようになってました。
なにより圧巻なのは彼女の最期のシーンですかね。いや素晴らしかった。
アクションが豊富でファンタジーな作品ですが、かなり刺激の強いメッセージが多い舞台だったのである意味この劇団にとっても非常に難しい挑戦でしたが、共演者の層が本当に厚くて、みんなの熱量や個々の感情の乗せ方で、特に失敗すると薄っぺらくなりがちな”伝えたい部分“をしっかりと届けられる作品になったのではないかと思います。
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- [君に、瞬く星の導きを] キャスト表 – 2016年4月24日(日)
写真
真己
主に、過去と現代のシーンがあったのですが、基本的なしゃべり方や接し方、そして少しだけ衣装を変えて変化を出してました。
写真は現代のもの。着物に黒の羽織とマフラー。足元は袴を脚絆のようなものでまとめてました。
過去の頃は羽織をマフラーを取っただけかな。黒の羽織がないだけで随分と雰囲気が違うものです。
殺陣のシーンはキャラクターの中でも一番多く、過去でも現在でも常に戦ってました。
面白かったのは、過去での戦いでは、演じ方自体が違うので相手とのスタンスが違ってきたこと。
舞台の構造上、後ろにハケてから少しして客席から出てくるなど、裏周りを走り回っていた思い出がいっぱい。演技もそうですが、普通に必死でした。
気づいたお客様も多かったんですが、現代のシーンでつけている「黄色いマフラー」は死んでしまった妻、澄礼がつけていた形見です。
どんなに性格が変わってしまっても、真己はあの日からずっと身に着けているんですね。
過去のメンバーで撮った写真。こういったシーンはないんですが(笑)、過去の面子は現代の殺伐とした重苦しい雰囲気とは打って変わって、みなとても楽しそうで活発な性格でした。
舞台写真
今回の劇場は日暮里dー倉庫。
客席がかなり急な階段になっていて、ほとんどの席からは見下ろしながら舞台面を見る感じの劇場です。
天井が非常に高く、舞台面前後が広いという特徴的な形をしているんですが、殺陣や動きのある舞台も比較的演りやすい劇場と言えます。
しかし、今回のキャスト数で大立ち回りをすると少し手狭でしたね…。
地明かりで。
別照明で。
劇団命では初の舞台面に階段を設置しての上下と踊り場をいれての2.5段階構成。
非常に立体感のあるセットになりましたね。
裏まわりが大変なんですが、なんとか事故なく無事に終われました。
生きてる…!!
里の旗
幾度となく掲げた里の旗。「アカ」と「アオ」。
そして両里の平和を願うために掲げられた「白い旗」です。
この意志は現代でも平和を願い続ける燕翔 (エンショウ)という人物に引き継がれ、ボロボロになっても掲げられてました。
アカの里。
アオの里。
両里の和平の証として作られた白い旗 (過去)。
ある事件により和平が潰えてしまった現代の白い旗。
とにかく、どれもものすごいクオリティで、この旗が初めて稽古場に来た時のみんなのテンションが忘れられません。
澄礼の最期
劇中でも非常に悲しいシーンであり、真己が特殊能力を身につけるきっかけになった事件。
戦いの場からともに帰ろうと約束を交わした矢先…
突然の凶刃に倒れる澄礼。
刀を置き、必死で命乞いをするが、
非常な現実がつきつけられる。
崩れ落ちる澄礼。
これが澄礼との最期の会話。
こと切れ、返事がない…。
咆哮。
そして覚醒。周りの人間もろとも炎とともに消し去ります。
この事件から憎しみの連鎖と戦うこととなる真己。
ジェダイの…
真己の幼馴染にして現代でも平和を願い戦い続ける燕翔 (エンショウ)さんです。
この作品は「和風ファンタジー」なので、衣装はある和装を中心としたユニークなものがたくさんあります。
しかしこの格好…どう見ても例の騎士にしか見えません…フォース使いそうですし…。
しかしながら燕翔さんは、平和を謳っているので基本的に武装しないで戦います。劇中でもほとんどは素手か持っている旗を使い戦っていましたね。
関係ないですが、今回の写真のなかでも、何気にこの写真が一番気に入っております。動きが上手く止められてますね。躍動感が素晴らしい。
集合写真など
今回、とにかく時間がタイトで…写真撮影の時間も全然なかったんですが、バタバタのなかなんとか撮影しました全体写真です。
僕が炎を使うとき指をパチンと鳴らす動作をしていたんですが、これがキャストの間でちょっと流行ってました。
写真を撮る時もみんなでこのポーズ。あれ、写真右の人それってふぉーす…。
真己のイラスト
最後に、見てくださいこの格好いいイラスト!
なんと、舞台を観に来てくれたお客様が「真己」をイラストで描いてくれましたー!
Twitterなどでも紹介しましたがここにもしっかり残しておこうかと。
非常に嬉しいですね。
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