監督:本広克行
製作:亀山千広、永田芳男
脚本:君塚良一
音楽:菅野祐悟
主題歌:Love Somebody-CINEMA Version Ⅲ-
撮影:川越一成
編集:田口拓也
出演者:織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、伊藤淳史、内田有紀、小泉孝太郎、寺島進、佐戸井けん太、小林すすむ、北村総一朗、小野武彦、斉藤暁、小栗旬、他
データ:2010年/日本/141分 [東宝]
鑑賞方法:ワーナマイカルつきみ野 (9番シアター)
評価:★★☆☆☆
[ストーリー]
湾岸署を襲った連続殺人事件から7年。海外からの要人が降り立つ空港が近くにあり、高速道路や変電所などが立ち並ぶお台場は、テロリストの標的となっていた。そのため湾岸署は、よりセキュリティー設備が充実した新湾岸署への引っ越しをすることになる。引っ越しの作業を一任された青島(織田裕二)は、部下と一緒に取り掛かるものの、湾岸署管内で次から次へと事件が発生し……。
(シネマトゥデイ)
[インプレッション]
前作から7年ぶりに帰ってきた『踊る大捜査線 (以下、踊る)』シリーズの第3作目。
今回主人公の青島は係長に出世しており新たなメンツを迎えて豪華すぎるくらいのキャスト布陣で制作されたけですが、どうしたんだろう、この異様な飽和感は。
ボクは『踊る』シリーズの良さはあちこちで起こる同時多発的な事件や雑多としたストーリーラインをきちんと伏線をおりまぜながら終息に持っていく構成力、演出力の凄さだと思ってるんですが、今回はどうしてもその引きがないまま終わってしまった感が否めない。
前作までの緻密なまでのクオリティはどうしてしまったのか。
問題の一つとしてキャスト陣の多さが挙げられるだろう。ストーリーとして見せたい部分以外に絡んでくるキャストが多すぎて(わざとそう見せているとしても)、ストーリーのラインがどんどんぼやけていく感じ。
結局、『踊る』独特のカタルシスを見いだせないまま終わってしまったという感じだ。
もちろん純粋に一定水準の面白さはあるし、『踊る』ファンが見ればニヤリとするシーンや設定は盛りだくさんで、必ず楽しめるだろう。多少突き放された感はあるがそういう部分を楽しむ映画でもあるので。
完成された老舗作品というよりは、むしろ生粋のファンが待ち望んだオールスター感謝祭状態。1作目、2作目とすべてを出しきったような神がかった構成力とテンポがまったくなくなってしまっている。
なぜ、こうなってしまったのか。これは、このシリーズにかかる期待の大きさが招いた失敗ではないだろうか。莫大な制作費とセット、エキストラの登場数、莫大な宣伝からも今回の映画の規模を表している。”絶対に、どんなことがあっても (興行的に)失敗の許されない映画”という期待のかかった映画をキャスト陣の圧倒できな露出力でカバーしようとした結果、肥大しすぎてしまった感が否めない。
全体を観終わったあと物語としてまとめると、これから新設定を引っさげての顔見せ作品のような位置づけとなってしまったような状態で、続編が全然作れる土壌を再構築したような作品。こんかいのクオリティが続編への期待にどうつながるかが見物だ。
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