[花 hana] 千秋楽カーテンコールでの瓦版屋キャスト紹介

舞台
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前回同様、千秋楽には”瓦版屋”こと矢ヶ崎さんによるキャスト紹介がありました。
カーテンコールで役者が並ぶと、どこからともなく客席の花道から瓦版屋が登場し、瓦版を読むかのように各キャストの口上を添えて紹介していくのです。
今回もお客さんのみならず、役者一同にも大変好評でアンケートでも反響が大きかったんですよ。
しかしこの口上文、全て矢ヶ崎さん本人が考えており、原文が1枚しか存在しないのです。コレは是非とも残したいということで、去年のように、ボクのホームページにてキャスト写真付きで公開させていただきます!!
テンポが非常に良く、聞いていてそのキャラクターのことがよく想像できるので観に来ていただいた方にはその役のシーンまで浮かんでくると思います。やはり前回同様矢ヶ崎さんオリジナルのテンポを崩したくないので、漢字なども可能な限り原文まま掲載させてもらいました。
ではどうぞ!!

【 瓦版屋 】

どこからともなく やって来る
ZAPPAお馴染み ”瓦版屋”

演ずるは
<矢ヶ崎昌也 (妛・棗)>

【 西村謹吾 】

素性を知らぬ 女であれど
つつみ癒すが 大地の心
二日三日じゃ 実は成らぬ
一つを信じて 年月かけりゃ
大地は花を 受け入れる
花は大地に 根を下ろす
実りの村長 ”西村謹吾”

演ずるは
<草野元紀 (妛組)>

作る実らす 男の仕事
殺す壊すは 性には在らず
けれど暮らしが 変わるなら
花の笑顔が 見られるならば
おっとり刀 竹槍 (やり)かかえ
大地の草莽 いざ参る
花を知る者 ”西村謹吾”

演ずるは
<坂井虎徹 (棗組)>

【 やつで 】

未来を託した 赤子の為に
千余の敵に 立ち向かう
かつて封じた 忍びの技を
今こそ全て 解き放つ
磨き上げたる 心の刃
この世に切れぬ 物は無し
くノ一 ”やつで”

演ずるは
<荒井麻里 (妛組)>

朝は日の出に 夫と目覚め
お調子者の 尻叩き
欲しい一つ がここには存った
一番大事な 一つが存った
この幸せは 明日も続く
きっと必ず 永遠に
村長女房 ”やつで”

演ずるは
<喜多史江 (棗組)>

【 金田源一郎 】

例えば森の 大きな木
羽を休めた 小鳥が止まり
疲れた獣が 木陰に憩う
逃れ逃れた 戦の花が
寄り添う場所と 定めた木
癒しの大樹 ”金田源一郎”

演ずるは
<堂前俊匡>

季節に沿って 大地を歩く
流れに任せて 水を読む
逆らう無かれ 怪しむ無かれ
自然の理 (ことわり) 聞く耳あらば
自ずと見える 運命(さだめ)の道が
風に乗る者 ”金田源一郎”

演ずるは
<片柳克敏>

【 かずら 】

産まれい出たる 志士の子は
心を繋いで 産まれた子
子供を守るは 母たる己 (おのれ)
千人揃えど 雑魚は雑魚
花を纏 (まと)って 修羅となる
くノ一 ”かずら”

演ずるは
<根本のりか>

生まれついての 姉御肌
男にゃ負けぬ 肝っ玉
度胸一発 後には引かず
明るく笑って 今日を行く
けれど源なら 知っている
正真正銘 彼女は乙女
根性乙女 ”かずら”

演ずるは
<桃 (棗組)>

【 竹貫三郎 】

道で見つけた 花を摘み
村で待ってる 花に逢う
両手に持った 愛しい花を
今は手離し 竹槍 (やり)握る
再び両手に 花持つ為に
笑い、花摘む ”竹貫三郎”

演ずるは
<倭文 俊>

花をあげると 彼女は笑う
同じ花でも 彼女は笑う
それが見たくて 花を摘む
何故か男は 気付かない
彼女は君を 見て笑う
幸せ一杯朴念仁 ”竹貫三郎”

演ずるは
<小菅達也 (棗組)>

【 なずな 】

かつて殺めた 人の数
決して拭えぬ 血の臭い
全て清める あの笑顔
今も想いは 共に在る
花の想いは 盾となる
花の想いは 矛となる
くノ一 ”なずな”

演ずるは
<小倉ひとみ (妛組)>

今日も届いた 花一輪
色も名前も 彩も全て
彼女はとうに 知っている
知っているけど 彼女は笑う
笑って目を見て 「ありがとう」
乙女満開 ”なずな”

演ずるは
<坂本和代 (棗組)>

【 高山健彦 】

震える足を 踏み鳴らせ
合わぬ奥歯を 食いしばれ
集めた勇気も 雀 (すずめ)の涙
足りぬ所は 命を削れ
大事な三文字 血を吐き叫べ
草莽散華 ”高山健彦”

演ずるは
<高橋智哉 (妛組)>

君が侍 好きならば
なってみせよう 侍に
強いがいいなら 銃でも持とう
風にも虎にも 天にもなろう
君が望めば 何にでも
うつぎで一杯 ”高山健彦”

演ずるは
<岡田昌也 (棗組)>

【 うつぎ 】

風に吹かれて 花が在る
散ると覚悟で 花が立つ
花は忘れぬ 憶えてる
己の隣に いた草を
弱く優しい 草の事
くノ一 ”うつぎ”

演ずるは
<新田えみ (妛組)>

一本刀と 若さと熱さ
彼女の前に 立つ男
畳の鎧に 似合わぬ鉄砲
彼女の前に 立つ男
選ぶ段には まだ無いが
比べ見るも 又楽し
乙女繚乱 ”うつぎ”

演ずるは
<三島冨美子 (棗組)>

【 つばき 】

忍びを抜けて 何処向かう
今日は色町 明日は野山
切って逃れて 見つけた里で
命を見い出し 盾となる
抜け忍 ”つばき”

演ずるは
<松菜美樹 (妛組)>

光に愛でられ 育つが花か
雨風に耐え抜き 開くが花か
孤独に気付かぬ 孤独な花は
流浪の果てに 孤独を知って
仲間と未来を 手に入れる
抜け忍 ”つばき”

演ずるは
<浜田恵美子 (棗組)>

【 伊牟田尚平 】

時に相楽の 知恵袋
時に相楽の 露払い
音に聞こえた 英雄も
奴に言わせりゃ 赤ん坊
世話を焼かせろ 迷惑かけろ
日々を戦う 乳母 (うば)侍
“伊牟田尚平”

演ずるは
<山形 匠 (妛組)>

英明果断 鏡心明智
一を聞いては 十を識る
江戸に在っても 京を視る
我こそ相楽の 懐 (ふところ)刀
全てを見通す 遠眼鏡
薩摩の水鏡 ”伊牟田尚平”

演ずるは
<大西宏幸 (棗組)>

【 権田直助 】

志 (こころざし)たる 医師の道
忘れたわけでは ありません
今の患者は 日の本全て
幾千万の 民草・弱者
不倒不屈の 刃を持って
時代の病巣 切り捨てる
幕末医龍 ”権田直助”

演ずるは
<都筑大輔 (妛組)>

腐り果てたる 幕府共
民をいたぶる 小役人
どこもかしこも 病人だらけ
さらば医者たる 我が身の出番
策をめぐらし 刃を振るい
病を直すは 我にあり
救命侍 ”権田直助”

演ずるは
<寺岡 悟 (棗組)>

【 金原忠蔵 】

風が起これば 時代は変わる
風が止まれば 時代は澱 (よど)む
ならば我が身が 風となる
銃も刃も 届かず触れず
明日も追い抜き 生き急ぐ
維新の突風 ”金原忠蔵”

演ずるは
<斧口智彦 (妛組)>

飢えた村から 走って逃げた
拾い盗んで 走って生きた
そして今こそ とくと見よ
草莽戦士 最期の走り
赤い熊毛を 頭にかかげ
炎と化した その姿
先陣特攻 ”金原忠蔵”

演ずるは
<河野誉生 (棗組)>

【 大木四郎 】

怒る稲妻 大音量
笑う雷鳴 大音量
知らぬ存ぜぬ 手加減などは
常に全力 無闇に全開
生きるからには 有りったけ
吼える雷神 ”大木四郎”

演ずるは
<北崎秀和 (妛組)>

夜の降りたる 竹林に
虎の砲口 (ほうこう) 轟 (とどろ)く響く
守ると決めた その時に
竹の穂先は 牙となる
裸の拳 (こぶし)は 爪となる
決めた覚悟が 武器となる
猛虎奮迅 ”大木四郎”

演ずるは
<皆木俊彦 (棗組)>

【 江島勘兵衛 】

天を迎げば 地は見えぬ
そこにはびこる 草など見えぬ
それでも足に 絡むとあれば
全て刈り取れ 踏みにじれ
鬼面狂乱 ”江島勘兵衛”

演ずるは
<中山和久 (妛組)>

赤い熊毛が 気に入らぬ
声も姿も 気に入らぬ
奴こそ怨 (おん)敵 全ての元凶
死では済まさぬ 滅するえぐる
相楽憎しや ”江島勘兵衛”

演ずるは
<神山克己 (棗組)>

【 おはま 】

夫婦一組 付き添い幾余
今や誰より 良く知る二人
そして我が身が 成すべきは役は
二人の間を 結ぶ役
決して千切れぬ 強い糸
未来を抱く手 お女中 ”おはま”

演ずるは
<木村江里子 (妛組)>

何かあっては 旦那様
折にふれては 奥様と
志士と花とを 行ったり来たり
蝶々の様に 飛び回る
春の世話人 お女中 ”おはま”

演ずるは
<羽音 (棗組)>

【 てる 】

夫を想えば 万里を越える
子宝宿せば 我が身を捧ぐ
それでも絶えぬ 口に笑み
真に強きは 女の力
生んで・育み 愛しむちから
春風夫人 ”てる”

演ずるは
<橘 志乃 (妛組)>

志士と寄り添う 花一輪
可憐なだけと 侮る無かれ
根雪の下でも 生命 (いのち)は枯れぬ
暗い地下から 光を目指し
雪割り桜は 咲き誇る
日だまり美人 ”てる”

演ずるは
<らむ (棗組)>

【 相楽総三 】

草と語らい 大地を開き
妻と寄り添い 命を感じ
戦友を失い 千里を走り
運命に抗い 散れども還る
青き理想の 赤い志士
官軍先鋒 赤報隊
総裁 ”相楽総三”

演ずるは
<前川正行 (妛組)>

力に逆らう 人の為
泥にまみれる 妻の為
烈火の獅子の 生き様を
嘘で固めて 葬れど
草は見ている 語り継ぐ
官軍先鋒 赤報隊
総裁 ”相楽総三”

演ずるは
<南 利寛 (棗組)>

【 大原数馬 】

闇で蠢 (うごめ)く 獲物を狙う
忍び巣を張り 捕らえて喰らう
逃げる術無し 破滅が降りる
毒の鬼蜘蛛 ”大原数馬”

演ずるは 劇団ZAPPAの大座長
<澤田正俊 (妛・棗)>

裏話
見ていただくとわかると思いますが、実は今回、妛・棗の各組キャストごとに全て口上分が違います! 前回はダブルキャストの役は同様のモノだったんですが、組によっては役の作り方が違うということで矢ヶ崎さんがほぼ全員分の紹介文を考えてくれました。
この口上は矢ヶ崎さんが、本番に入ってから最後の最後まで考えているので、それぞれの役者が作ってきたその役のことをよく見て書かれているのが感じられます。

コメント

  1. KAZU より:

    今回、27日の妛組と28日最終日の棗組を観させて頂きました(ZAAPAの公演はいつもラスト2日間の夜の部を観ています)。
    キャスト紹介の口上が組によって違うとは思っていませんでした。これは最終日に2回観るべきかも知れないですね(^ ^;)
    今回の作品も、笑えて、切なくて、興奮できて、感動して…。
    とにかく本当に最高でした。
    それに足を痛めてるようにはとても見えませんでしたよ。
    大木とのシーンでも、普通に投げられたりしていましたし。

  2. axe より:

    >>KAZU さん
    コメントありがとうございます。
    そうなんですよ、今回のキャスト紹介の口上は全キャスト個別のものが読まれていました。
    “瓦版屋”の矢ヶ崎さんは本当は前回からやりたかったことだそうです。
    しかしですね、千秋楽の公演では見れないものもあります。
    それは、キャストによるグッズの宣伝です (笑)。
    まぁ、これが回によって微妙に毎回違いますし、大抵グダグダなので賛否両論ありますが、逆にそれが良かったと言ってくれるお客様もいらっしゃいます。
    もちろん、いつの回を観に来ていただいても本編内容はまったく遜色ない、そのときの最高のものと自負しておりますのでご心配なく。
    相撲のシーンは、大木 (役の北崎)さんに相当頑張ってもらいました。
    体重移動や足の踏み込みなど、僕に合わせてくれていたので負担を軽減して芝居ができました。
    言ってみれば、まさに一人相撲ですが。

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