三木三郎

舞台
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『風-ふう-2』から早くも1ヶ月が経ちまして、まとめ記事も書かないうちに次の舞台が決まって忘れそうになりました。この半年は4月の『風-ふう-』のときからずっと劇団ZAPPA漬けのような感じだったので、すこし感慨深いものがあります。


悪役でした。ワルモノ。伊藤甲子太郎の実弟で新撰組を内側から食い破ってやろうとする役どころで、以前からやりがっていた”めちゃくちゃ嫌な奴”をできるとあって、とても楽しかったのです。

性格はとっても生意気なやつで高飛車。そして剣の腕はだれにも負けない自信を持っている。何より無邪気なワルモノ。台本上で書かれた三木三郎は好戦的でやや冷酷なイメージでした。稽古中にも何度も修正して、この性格になったんですが、自分的には藤堂との絡み、関係性が肝だと思って作った結果自然とこういう風になってました。

“役作り”ってやつは、もともと自分の中に持ち合わせてる性格を継ぎはぎして新たな人物を形成していく方法もありますが、今回の場合、自由に泳がせてみようと。
台本が遅かったせいもあり、迷う期間はたっぷり合ったので、本当にしっくり来るまで今回は特に時間をかけて作っていったと思いました。

須磨との”姉ちゃんと弟”という関係は当初からあまりぶれずにできて、今思うとやりやすかったんだろうなとても。うん。
もともと須磨役の人と仲が良かったというのもあるんでしょうが、それ以前に芝居に対する姿勢がおのずと伝わってくる方だったので本当に悩みという悩みは無かったかも。もちろん須磨本人の中での役作りは二転三転したけど、そちらに影響されずにできたのは土台がしっかりできていたからに他ならないでしょう。
それに、自分自身本当に役作りができたポイントというのが”殺陣”がつけられてからでした。

2刀流
今回の役柄はなんと”天才剣士”!! 去年劇団ZAPPAで客演をさせてもらって初めて経験した殺陣なのに、今回ほぼ殺陣がメインという大変な役に。しかも2刀流ということで、不安がないわけはないのです。
だけど、正直なことを言うと嬉しかったです。殺陣によって確立されたキャラだったので自分の殺陣のシーンが付くと、自然と言動や動きが安定していくのが分かったし、それがものすごく気持ちいい。これだけ一体感を感じるのも珍しいくらいに自分の中で「三木三郎」のキャラクターが一人歩きを始めたのをよく覚えてます。

考えてみると、この三木三郎という奴は動きによってできている所がある。普段の挙動がすべて三木の性格につながっていれば、この芝居の中で確立した存在になれるんではないかと思っていて、実際本番中でもどんどん三木の刀のさばき方や動きは変化していきました (もちろん芝居が変わらない程度にね)。

こういう性格なのだから、剣をくるくる回してみるのはどうかとか、刀を担ぎながら挑発してみたり、一人ニヤニヤしながら状況を見守ったりと本当に自由に動けるキャラクターだったので、初めはその自由度に戸惑っていたに過ぎないということがわかってきました。新八と最初に戦うときの挑発のジャンプなんて、勝手に飛んでたしね。

「2本持てば強くなるわけじゃねぇんだよ」
藤堂平助との関係は自分のなかでとても考え、悩んだポイントだった。なんせ裏切るカタチになるわけだし、藤堂が自害するきっかけにもなるわけだ。ただ、幼馴染の平助は利用するだけの存在だけにはしたくなかったので、本当に親しい平助のままでした。

そうすると、平助の刀を持つ2刀流になった新八との最後の戦いも「あんたも平助と同じだな! 2本持っても強くなるわけじゃねぇんだよ!」の台詞が生きるし、そのことで新八と戦うことができました。それまで「沖田沖田」言ってたのでね・・・。

とにかく三木三郎のここんところの気持ちはいろいろ作れるのです。
お客さんからの殺陣の評価が良くて少し恥ずかしく、公演期間中は調子に乗らないように必死の毎日でした。殺陣は怪我をする場合もあるので、特に。それでも観てくれた方に少しでも三木三郎という存在を残せたのならば幸いです。
最後に、とても楽しかったです。ありがとう三木!!!

【まとめ】
風-ふう-2 – 2007年09月12日(水)
小屋入り – 2007年10月10日(水)
仕込み2日目 – 2007年10月11日(木)
初日 – 2007年10月12日(金)
2日目 (颪組初日) – 2007年10月13日(土)
3日目 – 2007年10月14日(日)
4日目 – 2007年10月15日(月)
5日目 – 2007年10月16日(火)
6日目 – 2007年10月17日(水)
7日目 – 2007年10月18日(木)
8日目 – 2007年10月19日(金)
9日目 – 2007年10月20日(土)
千秋楽 – 2007年10月21日(日)
千秋楽カーテンコールのキャスト紹介 (おまけ) – 2007年10月28日(日)

【おまけ】

チラシ写真 (カラー)
今回のチラシ用の写真です。このときはまだ役がわからなかったので、チラシに載ってみて、やたら爽やかだと言われました。確かに役のイメージとは少し違う。

大体戦ってるやつなんでこういう生意気そうなほうがイメージ的には合ってたかも知れませんね。こんなかっこいいアングルで撮っていただいたんですが・・・

基本的に無邪気な奴なので、こんな表情も舞台上では良くやってました。感想で「かわいい」と言われたなぁそういえば。
なんでこんな顔撮られてんだかよく覚えてません。完全に無防備です。

東京芸術劇場小ホール1 舞台
今回の舞台ッセットです。いつもどおり障子をパネル代わりに使うシンプルなもの。しかし役者が縦横無尽に動き回り照明等で場面を作っていくとしっかりお客さんに見せることができます。
今回はいつもよりも階段が大きく、芝居中にもかなりダイナミックに使用しました。

右の写真の赤丸の部分は障子が破けてしまっている箇所。スタッフのすーびょんさんを筆頭に直しにかかります。ボク、今回の舞台で「障子貼り」のスキルが上がるとは思ってもみなかったです・・・。

客席
今回の客席です。1年ぶりの芸術劇場はどこか懐かしくて、感慨深いものがありました。正面に移ってるのは沖田総司役のあやいちさん。ちょいと芝居の稽古中だったので手をぶらぶらさせてる所が沖田の無邪気さを醸し出してるなぁなんて思いながら見るといい感じのブレです。

一番前列には”関係者席”なるものが4席設けられ、開演時はお客さんが座ることのできない席がありました。実はコレ、今回のオープニングの演出上この席に座って「友禅を持つ係」のキャスト用の席だったのです!!
観に来てくれた方はわかるでしょうが、そのまま立ち上がり殺陣に参加してしまうという斬新な(?) 演出。ボクがその係りの一人だったんですけどね・・・。暗転明け、お客さんの視線が突き刺さりましたとさ。

オープニング (場当たり中)
今回のオープニングの場当たり中の様子をカメラに収めたので。舞台セットが組み終わり、迫ってきた退館時間ギリギリまで場当たりをするためみんな私服なのです。友禅の洗い娘の微笑ましい会話が・・・

突如現れた浪士達によって友禅は踏み荒らされ、洗い娘は逃げ惑います。そのときの様子なんでガ、みんな初めての劇場での場当たりということでテンション上がりまくり、ものっそい早いです。残像が残ってます。

小道具など
今回使った小道具の灯篭 (とうろう)と字が書けるようになった総司が落書きした襖です。劇団ZAPPA公式サイトでもふれてますが、この襖は総司役の赤座さんとあやいちさんの直筆。うまい・・・といっていいのか分かりませんが (下手に書くのがうまい??) 雰囲気が良く出ていてキャストの間でもとても好評でした。

ちなみに赤座さんとあやいちさんは小道具の担当もしており、他の小道具管理もしてました。
その中に一つである”灯篭”は、中にろうそく型のライトが仕込んでありちょんと押し込むとこのように光るんですが・・・、今回いろいろ大変でした。電池の接触が悪くて明かりが付きにくかったり、なかなか悩まされた灯篭。

オトコ楽屋
今回の男子楽屋です。芸術劇場の楽屋は広いので男子はこの広い部屋にまとめて入れられます。
うわーなんだかカオスですが、実はけっこう快適。自分の鏡前はきれいにしてたんですが、いつもお菓子を置いてくれる人のおかげで、ボクの鏡前はお菓子置き場と化してましたが。それはそれで嬉しかったんですけど。他の人の鏡前はかなりすごいです。その様子をレポートしてきましたのでどうぞ。

えー。・・・おもちゃ (主に食玩)だらけです。誰のとは言いませんがドラゴンボールや、ガンダム、漫画のキャラクターの食玩を毎朝近くのコンビニで買っては並べていくので日に日に増えていきます。

中にはもっとすごいつわものもいて、颪組の河合喜三郎役のJolly (ジョリー)こと岡田さんはバリスタを持参して「ジョリーズ Cafe」をオープンしちゃいました。
ちゃんと豆を買ってきておいしいコーヒーを飲ませてくれます。毎日、遠方の女子楽屋のほうからもお客さんが着てました。

最後に「ジョリーズ Cafe」オーナー、Jollyの写真で終わります。
なんでこんな顔撮られてんだ。実際WEB上のキャスト紹介で使われてた画像。

コメント

  1. おばchan より:

    ホントお疲れ様でした。
    月日が経っても鮮明なものは鮮明で、忘れてしまったものも思い出す程の力があると昨日感じました。
    次へと進むことも大切ですが、自分の根底をしっかり持たないとダメですね。
    役者さんといるとそう思います。
    ありがとう!

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