『(ココロのカタチ)』を”防御反応”という役で演らせてもらって。最後のまとめの意味でもこの役と向き合ってみようなんて思ってみた。そんなのは舞台が終わるたびにいつもやってるが、記憶なんて曖昧ということでせっかくだからあえて書き残してみようと。
カッコイイんですよ、こいつ。殺陣もあるし、袴で刀振り回しての立ち回りや台詞まで、どれをとってもはっきり言っておいしい役。だから困った。演出家は防御反応のイメージを「ルパンで言えば石川五ェ門」と言ったんですよ。でもかなりアツイやつである。アツイ石川五ェ門・・・当日パンフにも載ってるが、そこはまったく意識しないで作りました。もちろん演出家のこの言葉を聞いたか聞かないかでは大きな違いがあったわけだが。
とにかくカッコイイ奴なんだよこいつ。だからとことんかっこ悪くしてみたかったというのが本音。そんな奴が見せる”人間味あふれるカッコ悪さ”の部分が出せたら魅力になるんじゃなかろうか。ただのかっこつけてる奴に見られてしまうのが怖かった。それからが大変だったわけだど。もっと貪欲に、主役やメインを食っちまうくらいの勢いで自己中心的に役について考え始めてからは防御反応が勝手に動き始めてくれた。そんな役作りが出来る環境の東京P.R.Oは本当に演りやすかったです。
そんな深みのある役が作れたかどうかは分からないが、観てくれたお客さんの感想は「かっこいい」と言うものがほとんど。でもね、「かっこいい」は褒め言葉だとは思いません。だってカッコイイ役なんだもんこいつ。最悪そこは最低ラインだったわけで、そんな防御反応がした行動に対してどう思ってくれて、どう感じてくれたかが重要なわけで、あんなまじめそうな奴がバカなことやってんなーって笑ってくれたりすれば最高なわけですよ。笑わせるのが目的では決して無いのだけれど、笑い声が上がるって事は少なからずそんなキャラクターに思われてるってことだ。だから笑い声は勝ち。カッコイイ奴だけど、もっとそのかっこよさを生かしてやりたい、楽日までそんな役作りは延々と続きました。
殺陣に関しても初めての経験だったので何から何まで手探りのような、そういう意味でもめちゃくちゃ不安でした。もともと動くのは得意で、昔の舞台で殴り合いの立ち回りはやった事はあるんですが、殺陣は剣術なんで型がしっかりできてないと観る人は萎えてしまいます。そこがどこまでしっかりできるかが課題でした。殺陣をやっていた方には色々お世話になり本当に助かりました。しかし、今回は絶対に「殺陣やるんだよ」という言葉を宣伝文句にはしたくなかったんです。上にも書いたとおりかっこよさや殺陣の部分を見せたいんではなく人間味あるキャラクターを見てもらいたかったからです。その分驚いてたお客さんもいたようですが、別にサプライズじゃないですよ。隠してたわけでもないしね。
この役は最近の僕の役からは少し違うタイプだったので観に来てくれる知り合いの人には新鮮だったみたいです。しかし、実はこういう感じの役は高校時代よくやってました。しゃべり方なんかはむしろ得意なタイプです。近頃もらう役は弟とか少年とか流されやすく気は強くないタイプで、もともと抑えてやってたり押し込めて行くのが最近の役作りだったんで個人的にも楽しかったかな。
強く、芯を持った、頼りがいがあるけどちょっと抜けてる防御反応。彼は他の感情たちと一緒にもっとはしゃぎたいんですよきっと。自然とそう考えて役ができていったのは自分にはどっかにそんなところがあるからだろうな。
【まとめ】
■ (ココロのカタチ) – 2006年05月05日(金)
■ 仕込み – 2006年06月07日(水)
■ 初日 – 2006年06月08日(木)
■ 2日目 – 2006年06月09日(金)
■ 3日目 – 2006年06月10日(土)
■ 楽日 – 2006年06月11日(日)
当日パンフレットに載る予定だった幻の登場人物紹介ページ。キャラクター紹介があったら演出家の意味がなくなってしまうということでボツになってしまいました・・・。クリックすると拡大します。
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