矢野元太 (舞台『バカの唄』のまとめ記事です)

バカの唄
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終演から少し時間が経ってしまいましたが、8月末から出演していたニコラシカ第3回公演『バカの唄』という舞台のまとめ記事になります。
当日劇場までご来場頂きました皆様、並びに関わってくれた全てのスタッフ、そして何より「応援」してくれた皆様、本当に本当にありがとうございました!
一瞬一瞬、本当に恵まれているなと感じながら楽しんでおりました。

今回主演で参加していたんですが、登場シーンやセリフ量以上に刺激的な体験をさせてもらいました。

矢野元太

今回ホームレスを演じました。あらすじにある通り人生を一度は捨てた男ということで、家族もあり子供もいた人間です。
まともな人間になれ、普通に生きろって言われても、その本題を逸れて「”普通”ってなんだよ!」と定義の話にすり替えて逃げてきたような人間があることをきっかけに考え直し、また立ち上がって行動をしていくという、そんなバカな人間の、バカなお話が今回の作品です。

年齢は随分といっていて、ホームレスということでヒゲでもはやしたかったんですが、過去の回想シーンが照明の切り替わりだけですぐに挟まれるのでヒゲのまま若い頃は難しいな、伸ばさずに髪型や格好、仕草で表現しておりました。

若い頃

これが回想シーンのころ。若い頃の回想シーンは結構頻繁に挟まれますが、逆にそこでしか妻とのシーンはありません。
殆どが妻の季子とのシーンになります。

シーンが目まぐるしく変わっていくので、段々と変化していく妻との距離感やその時期の心情をしっかりと。
ときにはインパクトが残るような見せ方で演じておりました。

元太の物語

画像は本番前の完全オフの状態なんですが(笑)。
役作りに関しては、この話の絶対的な筋として「男の成長」があったので、とにかくこの矢野元太というキャラクターを魅せようと。そこだけは嘘であったり疑問に思うようなシーンが無いように念入りに作っていきました。
年齢のいった役ですが、基本的に今の年配の方って結構若いので元太のセリフ自体も乱暴なものが多かったのでキャラクターはつけやすかったと思います。

少し苦労したのは頻繁に行われる早替え以上に、セットもなにもない照明だけで場所やシーンを表現する素舞台という制約でした。
もう、ホームレスなので地べたに座るってのは不自然ではないんですが、とにかく動きのバリエーションがつけづらい。そして2人で話すシーンがとても多いので見せ方が難しいのです。
どちらかを説得するシーンなどは力関係が見えるよう立ち位置など気持ちとは別の部分で考えなくてはいけません。少しの変化でより効率的にお客様に伝わるので。

台本2ページ分の長台詞

矢野元太の話なので当たり前かもしれませんが、セリフ量と舞台上にいる時間がとても多く、公演時間の約8割以上は出てたんじゃないんでしょうか?
楽屋に戻るのは1回だけ着替えをしに行くときだけでした。

そして終盤での長台詞。役者人生の中でもここまでの独白は初めてで、台本のページ数にして約2ページ分くらいずっと一人で叫びながら旗を振るシーンがあります。

もうね、とっっってもいいBGMが流れてるんですよ。これだけでお客様が泣いてくれているんじゃないかってくらいいい曲。
これに負けないくらい発信していかないと持たないシーンだったんで大変でした。
でも、この曲に助けられていたのも事実。稽古場では台詞が入るまで感情の流れが全く掴めなかったので。

終演後はこのシーンが印象的だったと多くの方に声をかけていただけたので、そういう意味では本当に、いい経験をさせてもらいました。

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写真

舞台写真

セットもなにもない、素舞台です。少し奥に段差があるだけで、あとはこの狭い空間を照明だけで区切りシーンを作っていきます。
出ハケも上下の前に1つづつとセンター奥に1つというシンプルなもの。裏通りは、結構狭いです。

曙橋 studio ZAP!

曙橋駅から徒歩5分以内にあるという、非常にアクセスのいい劇場で、地下にあります。
ただ…、まだ看板のようなものがなく、前を通っても劇場だとは気づきにくい!
客席数は舞台面の作り方にもよりますが40席くらいでギュウギュウな小屋ですが、少し見下ろせる客席から役者の息もわかる迫力のある芝居が楽しめる劇場です。

家族写真

劇中に登場した重要なアイテム、「家族写真」です。
父親がホームレスになってもずっと肌身離さず持っていた写真で、実際に撮ったものを印刷して使っていたので芝居では加工してボロボロにしておりました。
息子が最後に渡されるのもこの写真ですね。

全体写真

出演者みんなと。記事祭車の画像とは別バージョンのものです。
別チームのバージョンも。個性的な面々。

小道具など

最後に振っていた、息子を応援するための「旗」。
かつて自分のことを応援してくれた妻に、「形なんてなんだっていいのよ、大切なのは気持ち」と言われたのをずっと覚えていて作ったものです。

帽子。パット見で回想シーンと時代が違う人間なんだなとわかりやすい上に、もやはホームレスのアイコン的な存在ですね。

ジャケット。汚して、切ってもらいました。これは両組共通だったんですが、日に日に破れていく箇所が増えてきて途中縫ってもらったりも(笑)。

家族と

この幸せそうな家族が時を経て…

こんなんになります。親父はホームレスって(笑)。
息子との会話は妻と約束をしたときと全く同じ場所で。好きなシーンの一つです。

本番前、出演者一同、同じ方向を向いてお客様に少しでも楽しんでもらえるものを提供でいるよう一丸となって臨んでおりました。少しでも届いていれば幸いです。

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