硫黄島からの手紙

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邦題:硫黄島からの手紙
原題:LETTERS FROM IWO JIMA
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:ポール・ハギス
製作:クリント・イーストウッド、スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ロレンツ
脚本:アイリス・ヤマシタ
音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス
出演:渡辺 謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬 亮、中村獅童
データ:2006年/アメリカ/141分 [ワーナー・ブラザーズ]
受賞:アカデミー賞「音響編集賞」、ゴールデングローブ賞「最優秀外国語映画賞」、第31回日本アカデミー賞「最優秀外国映画賞」
鑑賞方法:レンタルDVD
評価:★★★★☆
[ストーリー]
 1944年6月、戦局が悪化の一途を辿っていた太平洋戦争下の硫黄島に一人の将官が降り立つ。新たに硫黄島守備隊指揮官に任命された陸軍中将、栗林忠道(渡辺謙)には駐在武官としてアメリカに滞在した経験があり、それ故に誰よりも米軍の強大な実力を知り尽くしていた。
勝ち目の無い戦いと知りつつ、日本本土防衛のため、1日でも長く硫黄島を守る事に意味があると考えた彼は、反発する陸海軍の古参の側近や将校・士官達を押し切り、防衛計画を練り直す。今までの上官とは違い、合理的な思想を持つ栗林の存在は、日々の生活に絶望していた西郷(二宮和也)らに新たな希望を抱かせる。栗林は隷下の将兵に無意味な万歳突撃や自決を禁じ、硫黄島地下に坑道をめぐらせ要塞化し、死よりも苛酷な持久戦に持ち込むが…
(Wikipedia)
[インプレッション]
日本人が主人公で全編日本語のアメリカ映画。ハリウッド的な間違った日本描写は一切なく、とてもリアルに第二次世界大戦における日本兵を描いている。硫黄島での戦いはもっとも凄惨な戦闘で、6万を超えるアメリカ軍に対して約3万名の日本軍で迎え撃つという、”玉砕覚悟”での死闘だった。
“玉砕”という言葉。日本人が各自どんな感情を持っていても、当時はそれが正義であり、一種の「正常な感覚 (常識)である」とされていたということがとてもよく伝わってくる作品。ありのままの戦争をしっかりと、しかもアメリカ映画が描いた日本兵の作品としてこれは非の打ち所がないくらいに戦争ドラマとして写してくれている。
下手な人間ドラマやそういった類のものは一切切り捨てている潔さがいい。TVドラマの延長である日本映画では絶対にこうはいかない。あれだけの俳優を使ってしまえばほとんどがその人物周りのお涙頂戴ドラマや回想が展開されるのは目に見えているからだ。
あくまで”戦争”という描写のみにテーマを絞るのは見るものを選ぶが、約64年前の手紙を通して日本兵の実像をしっかりと見せてくれる。
と、決してエンターテインメント作品ではないので、脚本の面白さや伏線による楽しみ、カタルシスや感動は望むべき作品ではないが、見る人によって感じるものが必ずあるはずだ。
個人的には、捕虜にしたアメリカ兵との会話がとても印象深いシーンだった。
あと、二宮和也君の芝居だけがどうも浮いて見えてしまったのは残念。演技は嫌いじゃないのに、今風に見えてしょうがない。人間のドラマとして見ていなかったから余計にそう感じました。

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