桜井一徹

舞台
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今年最後であろう舞台、劇団花鳥風月『花散る海 ~途中の人 partII~』のまとめ記事です。海上自衛隊のお話でした。

桜井一徹は、海上自衛隊の一等海尉で、イージス護衛あさひの艦航海長でした。
そしてなんとなんと、一児のパパです。妻子あるパパ。娘がいるんということですが、お客さんよりも驚いたのは何を隠そう、本人であるボクです。階級も結構偉いので幹部の白服でした。

劇団花鳥風月は配役前に本読みにじっくり時間をかけます。挙手制でその日の自分が読みたい役を決めるんですが、本読み当初、この役だけは無いと思って2週間くらいあった本読み期間、1度もこの役を読まなかったんですよボク。
しかし、配役発表でまさかの桜井一徹。まさにサプラーイズ。配役を予想していた劇団員も驚いてました。と、とにかく驚き、これは挑戦だなぁと思っていたのをよく覚えてます。

稽古に関しては、今回初舞台となる座長の娘、子役の”のどかちゃん”と絡みがあるんですが、この子すごいわ。初めての稽古までは少し不安で心配だったんですが、どこまで理解してるのかわからないけど、ちゃんと間をとって芝居が出来たり、こっちの言っていることがわかるんだねーある意味とてもやりやすい。
でもそれが仇になってくることもあり、娘が気になってばかりで妻への想いをもっと見せなくてはいけないという自体に (笑)。

役作りでも一番気にしていたのはやっぱり、歳。普段、ただでさえサワヤカな役ばっかりあてられるのに、妻子もちの父ですもの。
お父さんに見えるようにできるだけ落ち着いた芝居ばかりやってました。が、演出家から暗い暗いといわれ最終的には本番のような形に落ち着いたんですが、音や仕草を気にしているよりも、もっと全体で見せるべき感情は別にあったんですね。それに気づいたら尚子との関係もずっとやりやすくなりました。
妻の尚子とは、最初のシーンでしか顔を合わせられないんですよ。あとはずっと離ればなれ。舞台の前面と後ろとでの会話のみでのやりとりなんですが、その声や感情の揺らぐ間というのがボクの中でとても重要な演じ分けになりました。

回を追うごとに届いてくる声がズンと響いてきて、はっきり言ってお客さんを置いてけぼりにしてしまうくらい感情が高まった時も何回かあります。しかしダメ。泣いちゃダメ。今回はそう決めていました。
本番中の日記にも書きましたが、演出家に言われていたわけではないんですが、ボクの中では泣くというのタブーでした。

最期に聞かせる娘への言葉なんて泣いていてはだめだもの。自分を見せたいんじゃなくて何を残し、伝えるかを見せる芝居だったので、そこに重点をおいて組み立ててました。毎回窒息しそうなくらい我慢しながら台詞を搾り出してましたが。

今回は特にテンポを気にする作りだったので、個で見せるわけでなくものすごい量の台詞をやりとりしながらの緊張感と、全体で共有する空気のようなものを大切に演じてました。結果、心に残るものが伝わったみたいで、そんな時はそれを感じ取ってくれたお客さんが泣いているのが中盤からも分かりました。
すごいことだと思う。決して狙っている感動という類のものではない涙。「圧倒された」とまで言ってもらえることは、芝居をやっていてそうそう言われることではないので。
最近の芝居とはまったく違う体験をさせてもらったので非常に良かった。ボクにとってもいろんな意味でステップアップできた舞台でした。

7月に『君に、桜の花の祝福を』、9月に『花 hana』、そして11月に『花散る海』で役名も”桜井”だし、花づくしの今年の舞台、最後に相応しいものでした。

【まとめ】
花散る海 ~途中の人 partII~ – 2008年10月13日(月)
小屋入り、仕込み – 2008年11月11日(火)
仕込み、場当たり – 2008年11月12日(水)
初日 – 2008年11月13日(木)
2日目 (棗組初日) – 2008年11月14日(金)
3日目 – 2008年11月15日(土)
千秋楽 – 2008年11月16日(日)
キャスト表 – 2008年11月19日(水)

【おまけ】
桜井一家

桜井一家の写真。娘役ののどかちゃんは、8歳にして今回が初舞台でした。稽古中もみんなのアイドル。

東京芸術劇場 小ホール2

小ホール2の客席写真。小ホール1と違って動かせません。さらにキャパも小ホール1よりも入るみたいです。

舞台セット

仕込みからかなり大がかりで、こんなにしっかりと立込をしたのは久しぶりでした。イージス艦のCICを再現しています。
舞台の後ろはイージス艦。前面は首相官邸と完全に2舞台構成の芝居です。

舞台では紗幕ごしにイージス艦のCICを表現していたんですが、みんなが座っていた機械はこうなってました。本番はここにPCのキーボードを置いて自分ルールで操作 (?)してました。稽古中は、初めの頃からなぜかずっと「秘密ボックス」と呼ばれてました。確か演出家が説明する際に口にした言葉だったはず。

紗幕に映るリアルタイムモニター

今回の芝居では、イージス艦から政府に連絡を取る際、モニターを通じてずっと艦長の姿が映し出されてました。わかりますかね? 右上の幽霊みたいなの。これは録画では、リアルタイムで写っているので、お客さんも驚いていたようで、なくなんだかすごくかっこいいです。メタルギアソリッドの無線シーンみたいな演出です。
途中、隊員のみんなも発言するために艦長席からモニターに映るんですがこの場面も好評だったようです。

海自チーム

戦闘シーンは息もつかせないテンポなので詰まるのだけはのNG。なので本番直前まで台詞合わせに余念がありません。
そして、主に政府チームと海上自衛隊チームで輪を囲みます。この両チームは基本的に本番中お互い顔をあわせませんからね。

桜井のお守り

本編に出てきた桜井が家族に残したお守り。
これ、とってもお洒落な勾玉で、9月の誕生石と横についてる小さいのが11月の誕生石です。
実は夫と妻、お互いの誕生石でした。

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