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原題:ゲド戦記 -TALES from EARTHSEA-
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K.ル=グウィン『ゲド戦記』シリーズ
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
プロデューサー:鈴木敏夫
制作:スタジオジブリ
出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、小林薫、夏川結衣
データ:2006年/日本/115分 (東宝)
鑑賞方法:まちえい (映画の日 ¥1,000にて鑑賞)
評価:★★☆☆☆
ストーリー
多島海世界のアースシーでは、聖なる生物の竜が共食いを始め、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れていくなどさまざまな異変が起こり始めていた。やがて人々が魔法を信じることができなくなったとき、大賢人ゲドは世界のバランスを崩す者の正体を突き止めるための旅に出て、国を捨てた王子アレンと出会う。
インプレッション
映画の日だったんで、ある程度覚悟して観にいきました。覚悟していたというのはあんまり期待しないで見ようという意味で、ジブリの宣伝には踊らされないぞ、とまだ周りで評価されてない状態で観たくて劇場に足を運びました。
あ、最初に言っておきますが僕は原作の『ゲド戦記』は読んでません。その状態で本作を観ると・・・なんとも言い知れない違和感に包まれます。世界観はいいし、絵はきれいだし、ジブリ独特のキャラクター、豪華声優人、そして壮大な物語と文句のつけようもないくらいのオプションに固められた自称"感動巨編"は観ているうちにどんどんそのイメージを感じられなくなってくる。しかし、大作感が全く無いのはなぜだろう。
絵はどう見てもジブリ。もはや真似でもいいと思えるくらい(というか同じ)の人物タッチは宣伝やポスター、パンフレットでは大いに期待を膨らませてくれます。がしかし、動いてみると明らかに違う。パパとは大きく異なる作品だという違和感が劇場を漂うのがよく分かります。人物一人一人のしぐさや、ちょっとした動作が余りにもおざなりに感じられ、全体的にのっぺりとした印象を与えます。表情豊かなキャラクターのはずが、なぜか表情があまり生きていないように感じるのです。
その理由として、物語り全体を覆っているネガティブな空気。暗い、みんな基本的に暗すぎます。主人公のゲドやアレンですらアレですから、いかに周りが盛り上げるかがポイントなのに、何も配慮を感じない演出はただたださびしい間だけが残ります。台詞一つ一つにもなにか哲学的なことがちりばめられていて、終始同じことを言っているので繰り返す事に意味を感じません。画で見せないでほとんどを台詞回しで説明している。原作に忠実に作られた為に、ジブリのワクワク感はすっかり相殺されてしまい、小学校の授業の教育ビデオを見ているようだ。
テンポも悪く、とにかく情景を見せたいであろうと思える間を取りすぎて何を見せたいのかがいまいちよく分からないので、なんとなくの雰囲気で語られていくストーリー。演出に筋が通っていない盛り上がらない見せ場。最後まで処理されない複線の数々。原作を読んでいないと楽しめるのかが疑問。
「ジブリ」ブランドの名を背負わなければそれなりの名作として語られていたでしょうに。
【※】 以下、ネタバレ注意!!
"影"や"真の名"についてもっと詳しく描いてほしかった。特に"影"の話は、ゲドも以前"影"を作ってしまった過去があるからアレンとの関係性が成り立つのに、これではアレンと出会い、物語が始まったのは全くの偶然という事になってしまう。
テルーの唄。あの挿入歌はめちゃくちゃ良かった。良かったけど・・・・・、・・・・・、・・・・・長いよっ!!! あそこは1フレーズくらいかせいぜい歌いだしでよかったんじゃなかろうか。劇中で話をぶったぎって、あんなにしっかり挿入されるとただのプロモーションビデオのように見えてしまう。それならまだ『黄泉がえり』の流し方のほうが良かった。それよりもラストの戦っているシーンなどで、あえてバックグラウンドで流してほしかった(これは演出になってしまうが)。
結局ただの内輪もめの話で、国がどうとか全く関係ない展開に終始唖然。最初のドラゴンのシーンの必要性が謎のまま話が終わってしまう。おそらくドラゴン同士の戦いで、世界観を見せたかったんだろうが、あまりにもインパクトが強すぎて(というか後のシーンが弱すぎて)、「あのシーンは何だったの?」という疑問がずっと残ってしまった。
スタッフロールにも堂々と"(新人)"と書かれていた「手嶌葵」さん。歌も声もとても魅力的ですばらしいと思いますが、いかんせんアフレコはやはり新人のにおいがプンプン。狙いなのか分からない気の抜けた台詞が全編を通して展開されます。でも"台詞回しが棒読み"なのはみな共通、プロの声優さん以外はどのキャラクターもそんな感じです。しかし、これは最近のジブリの特徴だと思ってますので、もはや許容範囲。
宮崎吾朗の監督初挑戦に、ジブリの中では唯一猛反対だったという父の宮崎駿さん。心情はよく分かりませんが、そんないわくつきの作品で主人公アレンの"父殺し"って・・・。あれも理由付けがあいまいで唐突だったし、初登場シーンでいきなりあんなことされちゃあ感情移入もできませんって。
最後に。タイトルの意味が全く分からない。本人は「ハイタカ」って名乗ってるし、劇中に「ゲド」って言葉は2、3回くらいしか出てこないのは・・・。結局この作品のテーマとしては、約2時間かけて「死と生、命の大切さ」を説かれたようです。何回も、何回も。
「命を大切にしない奴なんて大っ嫌いだ!!」

コメント (5)
こんにちは♪
TBありがとうございました!
いまひとつと仰る方もいれば、良かったという意見の方もお見受けしました。
それは期待値の設定にもよるし、作品との相性にもよるし、ドラマの中に自分に当てはまる何かを見つけるかどうかにもよるんだな〜と、たくさんの記事を拝見して思います。
普通の人が監督をしたのと、偉大なパパを持つ吾朗さんが監督をしたのでは、最初から風当たりは違いますよね。
ジブリは世襲でいくのかどうか知りませんが、ほろ苦いデビュー作になってしまいましたね。
投稿者: ミチ | 2006年8月 4日 19:32
日時: 2006年8月 4日 19:32
トラックバックありがとうございます。
テルーの唄、とてもいいけど・・・
確かに長い!笑
唄自体はジーンとくるんですけどねぇ
投稿者: 倫 | 2006年8月 5日 13:25
日時: 2006年8月 5日 13:25
>>1 ミチ さん
そうですねー。
ネットでは正に"賛否両論"といった感じですが、それだけに反響の高さを証明してます。
ゲド旋風ですね。
>>2 倫 さん
さすが、予告編で流したら問い合わせが殺到したというだけあります。
あの挿入歌、タイトルもまんま『テルーの唄』だったんですね。
サントラよりも売れるんでしょうね。
投稿者: axe | 2006年8月 6日 10:19
日時: 2006年8月 6日 10:19
原作者が激怒!ジブリの嘘宣伝が壊滅!
次は莫大な訴訟が待ってる♪
http://www.ursulakleguin.com/GedoSenkiResponse.html
>I am told that Mr Hayao has not retired after all, but is now making another movie. This has increased my disappointment. I hope to put it behind me.
私は、ハヤオ氏が結局引退しなくて、現在もう一つの映画を製作していると話されます。これは、私の失望を増やしました。私は、私の記憶の彼方にそれを置くことを望みます。
>I wonder at the disrespect shown not only to the books but to their readers.
私の原作だけでなく私の原作の読者も軽蔑している。それに驚きます。
投稿者: スポーン | 2006年8月14日 18:36
日時: 2006年8月14日 18:36
>>4 スポーン さん
ああ、なんかとんでもないことになってるんですね。
て、なんか『ゲド戦記』ドキュメント本では原作者はべた褒めしてたけどそいう言うのは実際どうなんだろう・・・。
でも世界的に劇場公演は決まってるし、実際のところ興行的には成功しそうだから何事もなく事なきを得るんだろうなぁと大人の事情を深読みしてしまいます。
投稿者: axe | 2006年8月18日 02:33
日時: 2006年8月18日 02:33