小栗又一/丸毛靱負

by axe | 2006年10月20日(金) 23:29

公演終了からはや1ヶ月が過ぎてしまいましたよーい。ややビックリ。もうそんなに経ったか・・・。忘れないうちに書き留めておきましょう。
今回、小栗又一 (おぐりまたいち)という小栗上野介の息子と、その又一の死後に彰義隊に志願してきた又一にそっくりな丸毛靱負 (まるもゆきえ)という青年の2役を演じさせていただきました。同じ舞台で違う役を演じ分けるというのは初めてでとてもいい経験になったし、そんな状態でのダブルキャストというのももちろん初。

小栗又一は好奇心旺盛でまっすぐな明るい性格。それに対し丸毛靱負は父の仇を誓い、命を捨てる覚悟で彰義隊に志願する青年。この2人に共通する点は”大切な人を想い行動するそのまっすぐさ“です。ただ、そのまっすぐな行動が幕末という時代の渦によってお互いまったく違う方向に進んでしまうのです。

役作りで注意した点は、ひとつの舞台で2役を演じるということで生じるギャップを丁寧に見せていくことを心がけました。実は、稽古が始まって最初の頃は、又一の父親とのシーンがどうも鬼門でした。ほとんど父親との絡みしかないのに(笑)。それは、演出家に「父と息子の関係性が見えてこない。友達みたい」と言われてしまったから。特に最初の山登りのシーンなんかは行き当たりばったりでやっていたので、自分の中でもずっとやりにくかったんです。だからむりやりに自分の型にはめて (近づけて)演じていたら見抜かれるように言われた一言でした。

そこで、又一については少し年齢層を下げることを意識してみました。それによって丸毛は自然と演じ分けられたんで、どちらかというと最初の又一の印象が後々登場する丸毛へのイメージをより強いものにするんだなと。父親との関係性も息子が思いが強ければ成り立つように見える。自分のせいだったんですね。父上ごめんなさい。

父上、小栗役の佐藤さんはすごいと思う。初めはどんなものかとボクが探りながらの芝居だったんだけど、そんなの忘れてしまうほど演じていて楽しい。打てば響く感じ。やるたびに新しい発見があったので、僕にとってそれは衝撃的な体験でした。自分ひとりが頑張って役を作って、気持ちを高めていこうとしてもそれはまったく意味をなさなくて、この父親の前では自然に受け止めるだけでいい。本番中いきなり泣きそうになってしまったことがありました。しかもぜんぜん泣くとかありえない場所でね。役者に飲まれそうになるってこういうことかと感じつつ、自分の中にある新しい感覚に喜びすら覚えた瞬間でした。今回の舞台はそれだけでも大収穫だったといえる。また一歩、何かが見えてきた感覚。

いい役者達の芝居はただ“やりやすい”だけじゃだめなんだなと、最高の共演者の人たちに囲まれて思いました。たしかボクはその日の日記に「役者同士の対決」と表現したはず。ホントそんな感じ。”感じ”としかいえないけど、これは体験してみないと分からないよマジで。すっごいから。

みんな、小栗が死ぬシーンが泣けるというが、個人的には最後のほうで小栗が侍や新時代の若者について語るシーンが圧巻でした。飲まれないように必死に食らいついていった覚えがあります。
今回は「役作り」という枠にとらわれないで、舞台上で役を”開放“することができたと思います。それはまったくフォローをしなくてもいい共演者ということで、とことん全力でぶつかれる楽しさを感じることができました。
あーもうホンッット楽しかったぁ。また絡みたいな、と心から思う。

【まとめ】
空-SORA-2006 – 2006年08月10日(木)
小屋入り・仕込み – 2006年09月11日(月)
仕込み2日目 – 2006年09月12日(火)
初日 – 2006年09月13日(水)
2日目 – 2006年09月14日(木)
3日目 – 2006年09月15日(金)
4日目 – 2006年09月16日(土)
5日目 – 2006年09月17日(日)
楽日 – 2006年09月18日(祝)

おまけ

画像

今回のパンフレット画像の撮影で撮ったひとコマ。個人的に動きとかがよく出ていて気に入っていて、いいなぁと思って貼ってみます。又一の役柄では少し清閑すぎるということで、カットされたものです。又一別バージョンといったところでしょうか。まあ確かに又一は、抜刀とかしないし振り回さないし。

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